迫る緊急事態宣言期限「医療提供体制の拡充を」医療関係者、政府に要望

2021年9月24日 21時56分
 新型コロナウイルスの緊急事態宣言の期限が今月末に迫る中、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は24日、在宅医療関係者と会い、意見交換した。過去の宣言解除後、リバウンド(感染再拡大)が起こったことを踏まえ、今後も医療提供体制の維持・拡充を継続すべきだという認識で一致した。西村康稔経済再生担当相も同席した。(大野暢子、曽田晋太郎)

◆「中等症の自宅療養は安全でない」

政府分科会の尾身茂会長

 尾身氏らと面会したのは、医療法人社団悠翔会(東京都港区)の佐々木淳理事長。都などの委託を受けてコロナ患者の訪問診療に取り組むが、8月のピーク時は1日40件を超えて「若い世代が重症化しやすく、搬送先が見つからない例も多かった」と、当時の状況を説明した。政府への要望として「中等症(患者)を自宅でみるのは決して安全ではない。24時間医療が提供できる酸素ステーションを準備し、在宅でも入院時の安心感が得られる体制をつくるべきだ」と本紙の取材に語った。
 佐々木氏は12日に菅義偉首相とも会談している。政府側が意見交換を重ねる背景には、宣言解除の判断に当たって重視する指標を見直したことで、在宅医療関係者らに懸念が広がっていることがある。

◆中等症者数の正確な把握が課題

 政府は今月、ワクチン接種の進展で重症・死亡に至る割合が減ったとして、宣言の扱いを判断する際、新規感染者数よりも病床の逼迫度を重視する方針を表明。これに基づき、30日が期限の首都圏で解除するかどうかの判断を週明けにも行う予定だ。
 ただ、病床逼迫に直結する中等症者数について、政府は正確に把握していない。原則は入院とされているものの、急変のリスクが低い場合は自宅待機が認められ、その人数は統計から漏れやすいからだ。新たな方針では、感染や医療提供体制の実態と指標のずれが生じ、解除を巡る判断を誤る可能性も否定できない。

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