建設中に落石事故と土砂崩れ 埼玉の太陽光発電所が安全設備を造らず稼働 町が指導、住民からは不安の声

2021年9月25日 10時08分

門扉や柵がないまま運転している太陽光発電所。道路は雨で流出する土砂で汚れている=越生町で

 越生町の急傾斜地で建設中に落石事故や土砂崩れを起こした太陽光発電所が、当初計画していた雨水貯留池や門扉などの安全設備を造らないまま稼働を始め、町から指導を受けていることが分かった。町の担当者は「国も事業者に直接指導したと聞いている。現在(安全設備の)設計を進めさせているが、着工のめどは立っていない」としており、近隣住民らは「雨が降るたびに泥水が小学生の通学路でもある町道に流れてくる。台風シーズンに入り、いつまた土砂崩れが起きるか不安だ」と気をもんでいる。(中里宏)
 現場は町道沿いの斜度約三〇度の急斜面約三千四百平方メートルと、その上部にある平場約二千二百平方メートルの二カ所に太陽光発電パネルを並べた出力七百五十キロワットの発電所。敷地の一部は国の土砂災害危険箇所に指定されている。
 地元住民らによると、施設建設中で急斜面の杉林が伐採された後の二〇一九年三月十一日、縦横約二メートル、厚さ約一メートルの巨岩が斜面から町道に落下。同年十月十二日には台風19号の大雨で発生した土砂崩れが町道をふさぎ、復旧に約一週間かかったという。

台風の大雨で土砂崩れを起こした建設現場(2019年10月12日、住民撮影)

 事業者は住民らに雨水貯留池や擁壁、鍵のかかる門扉など、安全設備の建設を説明していたが、今年二月から設備を造らないまま売電事業を始めた。
 急斜面は土がむき出しで上部に一部崩れた跡があり、金網が張られている。雨が降ると、斜面の泥が擁壁を越えて町道に流れ出るため、発電所の前は泥で汚れている状態だ。擁壁が途切れた部分には、法律で義務付けられた門扉などの柵や塀がなく、町道からそのまま高圧設備のある敷地内に入れるようになっている。
 発電所には、事故などが起きた場合のために事業者か保守点検責任者の連絡先を掲示することになっている。この発電所に掲示された栃木県の事業者の電話番号に取材を二回申し込んだが、応対した人物は「住所も電話番号も同じだが、会社が違う。担当者はいつ来るか分からない。連絡先は分からない」と回答した。
 町などによると、指導に従わない場合は改善命令や事業の認定取り消しの対象となる可能性もあるという。経済産業省関東経済局新エネルギー課の担当者は「個別の指導内容は答えられない。一般論として自治体から法令違反などの通報があれば指導している」としている。

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