景観大丈夫? 街路樹1707本伐採 筑波研究学園都市の大通り23.5キロ

2021年9月25日 07時55分

伐採が終わった洞峰公園前の学園西大通り=いずれもつくば市で

 緑豊かな都市環境で知られる筑波研究学園都市(つくば市)の大通りで街路樹の伐採が進められている。茨城県は本年度、街路樹の維持、再生を理由に国道や県道沿いの千七百七本を間引く計画だ。これに対し、「街路樹の緑を生かした道路景観の形成」を掲げる市は、短期間の大量伐採による景観への悪影響を懸念している。(林容史)
 市内各所で、街路樹を切り倒すチェーンソーの音がけたたましく響く。八月下旬、高所作業車で作業員が枝を払い、幹を小さく切断し、トラックなどで搬出する作業が始まった。

街路樹の伐採作業が進む学園東大通り

 今回、県が伐採するのは「学園東大通り」「学園西大通り」「牛久学園通り」の計約二三・五キロ区間にあるユリノキ、モミジバフウ、トウカエデ、シラカシ計四千五百八十八本のうち千七百七本。
 県によると、街路樹は研究学園都市の建設に合わせ、一九七五〜七八年に植えられた。緑を早く増やすため、二本を約三メートル間隔で一対にして密集させる「つくば方式」が採用された。
 だが、植栽から四十年以上が経過。隣り合う樹木が近過ぎるために十分に枝を張ることができず、樹形が悪くなっているものが目立ってきた。計画は、対になった二本の一方を間引くとともに、形の悪い木を撤去して街路樹全体のバランスを整えるというものだ。
 市の景観の特色にもなっている街路樹だが、近年は台風による倒木や、成長した根が歩道を持ち上げる「根上がり」が発生。落葉樹の大量の落ち葉で排水溝が詰まって道路が冠水したり、伸びた枝で交差点の見通しが悪くなったりするケースも起きている。
 二〇一七年三月、大学教授らでつくる県の有識者会議が研究学園都市の「街路樹の維持・再生計画」を策定した。これに基づいて県は一九年度まで三年間、試験的な間引きを実施。「景観上、問題はない」と結論付けた上で本格的な伐採に着手した。本年度の事業費は歩道の補修も含め約三億五千万円。二五年度まで計画的に進める方針だ。
 伐採後は、沿道の企業や店舗、市民とワークショップなどで道路空間の活用について話し合い、必要なら新たに植栽もするという。
 県道路維持課は「伐採直後は、市民から『木が減って悲しい』という声が上がるかもしれないが、五年ほどすれば、きちんとした樹形になる」と説明する。
 一方、市側は、有識者会議に名前を連ねながら今回の伐採開始について事前に県から知らされず、事実確認に追われた。
 景観対策を担当する都市計画課は「直接、現場に行って伐採を確認した。見た目上は緑の連続性は保たれているようだ」と話す。
 県との窓口になってきた道路計画課は、「市道については根腐れ、倒木の危険があるもの以外、伐採しない方針」と戸惑いを見せつつ、「より長期的に良好な景観をつくるための計画と認識している。それが実現できるよう注視していく」としている。
 県は市に対し、街路樹の伐採について広報紙で市民に知らせるよう提案しているが、市は静観の構えだ。

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