酒と食に親しんだ吉村昭さんしのぶ 出身の荒川で来月9日に2年ぶり「悠遠忌」 愛読者ら研究会「人間性豊かな一面知って」

2021年9月26日 07時10分
 荒川区生まれの作家、吉村昭さん(一九二七〜二〇〇六年、写真)をしのぶ「第十二回悠遠(ゆうえん)忌」(東京新聞後援)が十月九日、サンパール荒川(荒川区民会館、荒川一)で開かれる。戦争や歴史など幅広い題材が綿密な取材でつづられた吉村文学。愛読者でつくる「吉村昭研究会」が主催し毎年、研究成果を発表してきた。今回は人間性や庶民的な一面に迫ろうと、テーマを「吉村昭と味と酒と」とした。(井上幸一)
 例年は命日(七月三十一日)前後に催してきたが、東京五輪期間と重なったことから、インパクトで負けてしまうと日程をずらした。新型コロナウイルス禍で昨年は未開催で、二年ぶりの悠遠忌となる。
 会によると、こよなく酒を愛し、食通だった吉村さんは、地方に出張取材した際は夜の街を歩き、自身の嗅覚でおいしい店を見つけた。終戦直後にひもじい思いをした経験者ならではの食に対する嗜好(しこう)が、多くの作品に色濃く投影されているという。
 当日は、第一部で吉村さんのエッセー集「味を訪ねて」の出版に携わった河出書房新社の西口徹さんが、吉村さんの親しんだ味、酒との向き合い方に関して講演。
 八月に「食と酒 吉村昭の流儀」(小学館文庫)を著した作家の谷口桂子さんのあいさつもある。
 二部では、朗読家の田中泰子さんが吉村さんの短編集「帽子」に収録された「朝食」を読み上げる。離婚を決意した夫婦が最後に食べる朝食の風景を描いた作品だ。

チラシを手に、第12回悠遠忌への来場を呼び掛ける吉村昭研究会の桑原代表(右)と、深谷東京事務局長=台東区で

 開催に向け、研究会の桑原文明代表(71)=千葉県袖ケ浦市=と東京事務局長の深谷真志さん(68)=杉並区=が、東京新聞したまち支局をPRのため来訪。「コロナ禍の暗いご時世なので、今回は明るくて堅苦しくないテーマを選んだ。安くておいしいものを好み、晩酌を楽しみにしていた吉村さんの人間性豊かな側面を知ってほしい」と来場を呼び掛けた。
 午前十時〜正午。入場料千円(学生は五百円)。コロナ感染防止のため、今回は普段より広い会場を確保した。ワクチンを一回以上、接種した人か、未接種なら直近五日以内のPCR検査で陰性の人でないと入場できない。会場の最寄りは、都電荒川線「荒川区役所前」。問い合わせは、吉村昭研究会=電080(6393)2549=へ。

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