「中国城」タリバン支援に存在感 アフガン首都、中国企業が入居する商業ビル 

2021年9月26日 22時52分
 アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権に対し、中国が存在感を増している。タリバンとの距離を測りかねている欧米を横目に、積極的に復興支援を約束。首都カブールにある大型商業ビル「中国城」では、入居する中国企業が早々とタリバンと経済活動再開への協議を重ねている。(北京・坪井千隼、バンコク・岩崎健太朗)

タリバンがカブールを制圧した直後の大型商業ビル「中国城」。運営会社スタッフが8月18日に撮影した(中国版SNSのウェイボより)

◆「中国の経済支援を望んでいる」

 中国城は昨年7月、カブール中心部に開設した11階建ての商業ビルだ。中国の飲食店や小売店、企業オフィスなどが軒を連ねる。
 「8月は激しい銃声が聞こえたが、9月は静かになった。中国城は安全だ」。運営会社の女性スタッフは本紙の電話取材に、現地の状況を説明した。8月15日のカブール陥落直後、訪ねてきたタリバン当局者から「安全確保のため、必要なら兵士を派遣する」と伝えられた。武装した自前の警備隊を配備しているため、タリバンの申し出を丁重に断り、以前と変わらぬ平穏を保っている。
 入居企業はこれまで、前政権下で鉱山や工業団地の開発、発電所建設などの事業を進めてきた。今回の事態で事業は中断したが、タリバン暫定政権の各部署と早期再開に向けた調整を進めている。中国城の余明輝代表は「タリバンは財政難で、政権安定のため中国の投資、経済支援を望んでいる」と語り、復興支援は双方のメリットになると期待を示す。

◆タリバン「手を差し伸べてくれる」

 アフガンは中国の経済圏構想「一帯一路」の要衝で、中国は経済進出に強い意欲を見せてきた。商務省が昨年公表した報告書は、石炭や鉄鉱石など3兆ドル(330兆円)を超える地下資源が眠り「潜在可能性は巨大」と分析する。
 一方、タリバン復権で過激派の活動が活発化し、国内や「一帯一路」沿線国に波及するとの懸念は強い。隣国パキスタンでは、タリバンを支持する「パキスタン・タリバン運動(TTP)」などによる中国人労働者らを標的としたテロ攻撃が相次いでいる。
 中国はカブールでの大使館業務を継続。経済支援と引き換えに「持続的な平和と安定の実現」(呉江浩外務次官補)を確実にしたい思惑で、呉氏は今月上旬のタリバンとの電話協議で、将来的な一帯一路への参加を容認。タリバンも、資産凍結を続ける米国などを念頭に「手を差し伸べてくれる中国は主要なパートナーだ」とアピールしている。

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