<社説>米軍の汚水処理 地位協定改定が必要だ

2021年9月27日 07時29分
 日本政府は、在日米軍の横暴をどこまで許すのか。しかも、その後始末に本来必要でない税金を使うという。もってのほかだ。
 沖縄県宜野湾市の普天間飛行場に駐留する米海兵隊が八月下旬、発がん性が指摘される有機フッ素化合物を含む汚水を下水道に排出した。独自の装置で薄めたというが、同市の調査では国の暫定指針値・目標値の十三倍の濃度の化合物が検出された。
 住民不安の高まりを受けて、日本政府は地下貯水槽に残る未処理の汚水を引き取り、焼却処分することを発表した。ドラム缶千八百本分(約三十六万リットル)で約九千二百万円をかける。さらに、雨水が貯水槽に流れ込まないよう補修費も負担する見込みだという。
 有機フッ素化合物は航空機事故用の泡消火剤に含まれる。一部の物質は国際的に規制され、米軍も置き換える計画だが、駐留地の環境保全は米軍の責務であり、日本側に処理の責任はない。
 在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定や付随する文書に特段の定めがない以上、日本政府は米軍に対し、残りの汚水について安全な焼却処分を求めるべきだ。
 法的な裏付けがなく、日本側負担による汚水処理を認めれば、ほかの米軍基地でも同様の負担が続くことにならないか。
 沖縄の米軍基地周辺の環境汚染は今に始まったことではない。
 空軍嘉手納基地などの近くでは水路などから高濃度の化合物が断続的に検出されている。普天間飛行場では昨年四月、消火装置の誤作動で泡消火剤が市街地に漏れ出した。
 このときは二〇一五年に締結された地位協定の「環境補足協定」に基づいて初めて、日本側が基地内を立ち入り調査したが、調査は重大事故などの場合に限られ、日本側が各米軍基地内にある泡消火剤や汚水の量、処理方法を日常的に把握しているわけではない。
 環境に限らず日本の法令を在日米軍にも全面適用するよう、地位協定を抜本改定する必要があるのではないか。日本の主権に関わる重大な問題との認識を、私たちすべての日本国民が持ちたい。

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