<ひと物語>登山者に憩いの場 武甲山の麓でカフェ経営 新井翔子さん

2021年9月27日 07時33分

「LOGMOG cafe&shop」の店内で笑顔を見せるオーナーの新井翔子さん=いずれも横瀬町で

 秩父地域のシンボル武甲山の麓、横瀬町の一の鳥居登山口で、冬季を除く土、日曜と祝日の午前十時から午後三時の間だけ営業するカフェがある。「LOGMOG(ログモグ) cafe&shop」。二〇一七年五月の開店以来、登山者らのくつろぎの場として親しまれている。店から目と鼻の先に自宅を構えるオーナーの新井翔子さん(31)のもとには、移住相談も寄せられるという。
 ログモグの建物は、もともと和室の茶屋だったのを新井さんが買い取り、夫の亮介さん(33)らと二カ月ほどかけてリフォーム。壁と床に張られたスギが、居心地良い雰囲気を醸し出す。登山道に面した大きな窓も印象的で、屋外には水洗トイレやデッキも整備。コーヒーなどのドリンク類や秩父の鹿肉ソーセージを挟んだホットドッグなどを提供し、Wi−Fi(ワイファイ)も利用可能だ。
 「山の近くでも飲み物が手軽に買えて水洗トイレもある場所をつくれば喜んでもらえるし、ちょっとしたビジネスにもなる」。登山者向けのコミュニティーサイトや口コミで評判が広がり、年間数百人が利用するまでになった。新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が発令されてからも、その数は変わらないという。「ぱったり途絶えると思っていたんですが、ここなら安全ということなんでしょうか」。それでもトイレは営業時のみの使用としているという。
 多摩美術大でグラフィックデザインを学んだ新井さんは、川口市内の木工会社に勤めたが、一年ほどで退社。ガーデニングを楽しむ伯母の姿に影響を受けたこともあり「自分で何かを生み出したい」と、一六年に父の勝さん(65)とともに横瀬町に移住した。自宅や小屋をセルフビルドし、ヤギを飼い、畑を整備しビニールハウスで野菜を育てる。「カフェを始めてさまざまな人とのつながりもでき、視野が広がりましたね」と手応えを語る。

店内はスギ材と大きな窓が印象的

 山とともにある暮らしを続ける新井さんにとって、都会は「消費する側として楽しむにはすごくいい所」に映るという。
 「多種多様な商品にせよ食べ物にせよ、これ以上何をすればいいのというくらいに完成されたモノが都会にはいっぱいある。でも私はつくる側に回りたい。アイデア次第で、その土地ならではの新たな可能性を生み出せると思っている」
 構想の一つがキャンプ場の整備。早朝から活動したいからと前夜から車中泊する登山者も多く、需要はあると見込む。「私には伸びしろや余白がある場所が合っているんです」と、可能性の芽を探っている。(久間木聡)
<あらい・しょうこ> 1989年、朝霞市生まれ。多摩美術大で学んだ後、米国に留学。帰国後、川口市の木工会社でのアルバイトを経て、2016年8月に横瀬町に移住。19年2月に結婚。1児の母でもある。店名は、勝さんが所有するベンツの希少クラシックカー「ウニモグ」にちなんで名付けた。店の詳細は「ログモグ」で検索。

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