隠れ家で集団生活、強制送還の恐れも…アフガン難民、トルコでも生活苦 若者「欧州で仕事見つけたい」

2021年9月27日 12時00分
 イスラム主義組織タリバンの脅威から逃れようと、7月以降、多くのアフガニスタン難民がトルコに密入国している。生きるために国を離れたものの、トルコでは不法滞在とみなされ、多くが隠れるように暮らしている。一方、若者はトルコを「中継地」ととらえ、新たな生活を切り開くため欧州入りを目指している。(トルコ・イスタンブールで、蜘手美鶴、写真も)

◆冷房のない倉庫で雑魚寝する少年たち

 西日が差す倉庫の一室で、アフガン難民の少年たちが無表情で壁にもたれかかっていた。約10平方メートルの部屋の床には、茶色く汚れたカーペットが1枚。冷房のない室内は、数分いるだけで体中から汗が噴き出す。

8月下旬、トルコ・イスタンブールで、倉庫の一室で集団生活するアフガニスタン難民。隠れるようにして暮らす

 「1日12時間以上ずっと石を運んでいる。もっとましな暮らしがしたいけど、十分な収入がない」。アフガン東部ロガール州出身のヘクマトゥラ・アユビさん(18)は、7月下旬にトルコに着いた。タリバンから戦闘員になるよう強要され、故郷の村から逃げてきた。同室では似た境遇の少年10人と暮らしている。
 アユビさんの月収は約1800トルコリラ(約2万3000円)で、うち3分の1以上が家賃に消える。不法滞在のため医療も受けられず、右足首には仕事中に負ったやけどの生々しい痕が残る。狭い部屋で雑魚寝してまどろみ、朝が来ればまた仕事に出掛ける。「家族に会いたい」と漏らした。

◆難民のコミュニティー

 トルコには約30万人のアフガン難民が暮らすが、うち約10万人が集住するのがイスタンブール南部ゼイティンブルヌ地区だ。密入国後の難民たちが目指す場所で、アフガン人コミュニティーが存在する。

8月下旬、トルコ・イスタンブールで、「助け合うのがアフガン文化だ」と話すベイクさん

 1年前にアフガン北部ジョズジャンから来たカーセム・ベイクさん(27)は、小さな携帯電話店を営む傍ら、到着したばかりの難民の家や仕事を世話している。「今日着いても翌日から働けるのがこの地区。遠くから来た仲間を助けるのはアフガンの文化だ」と話す。
 難民の多くは不法滞在のため、警察に見つかれば強制送還は免れない。難民らはアパートの一室や地下を改造した工場で働くが、「仕事場」は外から見えないよう、真夏でも窓やドアはカーテンで覆われている。

8月下旬、トルコ・イスタンブールで、縫製工場で働くバクティアリさん。「早く欧州に行きたい」と話す

 アフガンの首都カブールから来た高校生アサドラ・バクティアリさん(17)が働く縫製工場も同様だ。「生きるために働くしかないけど、本当は勉強したかった」。8月末に着いたばかりだが、「早くトルコを出て、欧州で仕事を見つけたい」と話す。

◆「ここに居場所はない」欧州目指すが…

 難民の中には、バクティアリさんのように欧州を目指す若者が多い。ゼイティンブルヌ地区は難民の受け入れ口であり、欧州への出発点でもある。一定の資金がたまったら密航業者を通じてギリシャへ入り、そこからドイツやフランス、イタリアへ向かう。
 ただ、シリア難民の流入で起きた2015年の「難民危機」以降、欧州各国は難民流入への警戒を強めている。シャハブ・アミリさん(21)は10カ月前にギリシャへ密航したが、ギリシャ警察に見つかりトルコに送還された。「パスポートやID、靴などを全て海に捨てられた。アフガンの家族に送金するため、どうしても欧州で仕事を見つけたい」と話し、再度チャンスをうかがっている。
 また、経済の低迷が続くトルコでは、低賃金で働く難民への風当たりが強い。難民と住民間でトラブルも起き、あるアフガン難民は「ここに居場所はない」と話す。トルコ人評論家ジャウダット・カメル氏(エジプト)は「難民のせいで仕事がなくなると思っているトルコ人は多い。社会的な居心地の悪さも、難民を欧州へ向かわせる要因となっている」と指摘する。

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