運動しよう!促す企業増加 歩数ボーナス、場内で体操 社員、経営 双方に利点

2021年9月27日 10時35分

「STOP座りすぎ」の時間に立って運動する豊田安全衛生マネジメントの社員=愛知県豊田市で

 コロナ禍で外出自粛や在宅勤務が強く叫ばれる今、心配なのは運動不足から来る体や心の不調だ。社員に積極的に体を動かしてもらおうと、企業の中には手当を出したり、勤務中に運動の時間を設けたりするところもある。長く健康に働ける環境づくりは、社員はもちろん、企業にとってもイメージアップにつながるなどメリットが大きい。 (海老名徳馬)
 歩いて、体重を記録するだけで毎月最高四千円−。
 インターネット大手のヤフー(東京)は昨年十月、社員に歩くことを促す制度をスタートさせた。名付けて「グッドコンディションボーナス」。一日四千歩以上を達成すれば百二十円、月に最高三千六百円が支払われる。月一回、体重を量ってスマートフォンの専用アプリに記録すれば、さらに四百円が上乗せされる。
 きっかけは、コロナ禍で社員約七千人の九割が何らかの形で在宅勤務をしていることだ。昨年六月のアンケートでは三割弱が一日の歩数を千歩以下と回答。体重が増えた人は四割近くに上った。グッドコンディション推進室の石下美保さんは「生活習慣病のリスクを高める運動不足を、歩くことで解消したかった」と説明。毎日気軽に臨める歩数として四千歩を設定した。
 一週間に一度ほど、全社員に貸与しているスマホのアプリにログインすれば継続して歩数が記録される。ボーナスは、ジムの利用やジョギングシューズの購入など、より健康になるために使ってほしいというのが狙い。額はさまざまだが、受け取っている社員は毎月約半数に上る。月の半分以上、目標の歩数を超えて歩く社員も全体の四分の一まで増えた。担当者は「従業員や家族の健康こそが、より良いサービスを提供するための基盤」と話す。
 同社は、従業員の健康推進活動に積極的な企業をスポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー」の一つ。制度が始まった二〇一七年の認定企業は二百十七社だったのに対し、今年は六百二十三社と三倍近くに増えた。同庁によると二〇年度、成人の週一日以上のスポーツ実施率は59・9%と高くない。特に、二十〜五十代の働き盛りは、その数字さえ下回っている。
 そうした中、健康を重視する経営は、社員にとってメリットが大きいだけでなく、企業のイメージアップに。加えて、糖尿病といった生活習慣病のリスクを減らし、医療費負担を抑えられれば経営の安定につながる。能力を十分に発揮できる社員が増えることで生産性が向上する利点もある。
 認定企業の一つで、工場などの安全衛生管理を進める豊田安全衛生マネジメント(愛知県豊田市)は昨年七月から、午前十時と午後三時の一日二回、「STOP座りすぎ」と題した時間を設けた。一斉に立って、三分ほどストレッチやスクワットをする。他にも昼休憩のラジオ体操や、秋には計三カ月間の歩数を競うイベントも。健康推進部所属の保健師、宇都宮友美さん(37)は「急に野球やサッカーをといっても難しい。生活の中で継続できる運動を提案している」と話す。
 運動と健康の関係に詳しい順天堂大教授の田村好史さん(48)は「運動が体にいいことは知られているが、運動不足が体に悪いというのは浸透していない」と警鐘を鳴らす。厚生労働省が健康づくりのためにと示しているガイドラインは、今より少し体を動かすよう提案。仕事中にできることとしては、遠くのトイレを使う、歩幅を広くする、階段を使う−などを挙げる。
 田村さんが勧めるのは、スマホの歩数計アプリを使い、一日の歩数を二千歩増やすこと。時間にすると約二十分だ。「まずは今の歩数を知り、最終的には八千〜一万歩を目指すといい」

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