<自民党総裁選>にじむ安倍前首相への配慮 4氏の主張 支持拡大に向け持論抑制

2021年9月28日 06時00分
 菅義偉首相の後継を決める自民党総裁選は29日、党所属国会議員による投票が東京都内のホテルで行われ、党員・党友票とあわせて開票される。4候補と立憲民主党の主要政策の立ち位置を比較・分析したが、4候補は国会議員の幅広い支持を得るため、持論を抑えたり、これまでの政権の疑惑解明に後ろ向きな姿勢が見られた。党内で影響力を保つ安倍晋三前首相との対立を避けたいという思惑もありそうだ。
 党の自浄作用を取り戻せるかの試金石になるのが、さまざまな「疑惑解明」への姿勢だ。安倍政権では、安倍氏側とかかわりが深い森友学園への国有地売却を巡って財務省の決裁文書改ざんが起きるなど、不祥事が相次いだ。
 立憲民主党と同様に、森友問題の再調査を明言したのは野田聖子幹事長代行だけ。岸田文雄前政調会長は当初、再調査に前向きと受け取れる発言をしたが、その後は後退。河野太郎行政改革担当相、高市早苗前総務相は政府の内部調査や検察の捜査が終わっていることなどを理由に否定的だ。
 「桜を見る会」問題では政府行事の私物化が指摘され、安倍氏は在任中、事実と異なる国会答弁を繰り返した。だが、高市氏は「虚偽と思って説明されていたわけではない」とかばい、他の候補も真相究明に取り組む姿勢は見られない。
 安倍氏への配慮が目立つのは、国会議員票の比重が高い決選投票にもつれ込んだ場合の支援を当て込んでいるからだ。リベラル寄りの派閥を率いる岸田氏が敵基地攻撃能力の保有に意欲を示し、4候補が憲法9条への自衛隊明記を含む改憲4項目の実現を主張するのも、保守層の支持を得たいという計算が働いているとみられる。
 原子力政策では立場が明確でなかった野田氏を含めて3氏が核燃料サイクルの推進を主張。中止を訴える河野氏も脱原発の持論を抑えて「現実的なエネルギー政策」を掲げる。立憲民主党の枝野幸男代表は「どなたがなっても何も変わらない。この政治の流れは政権そのものをひっくり返さない限り変わらない」と訴えている。(井上峻輔)

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