ドレス姿の新婦が訪問、プレゼント 入院闘病のお母さんへ「結婚写真だよ」 港区の訪問看護会社が無料サポート

2021年9月28日 07時09分

結婚写真を見つめる入院中の榎田喜美子さん(右)と娘=ハレ提供

 「諦めていた結婚祝いをかなえます」。港区の保険外訪問看護サービス会社「ハレ」が二月に始めた、看護の必要な高齢者や疾患のある人の前で結婚報告をする限定十組の無料サポートサービス。これまでに五組が利用している。
 「ハレ」の代表で看護師の前田和哉さん(35)が自らの結婚記念の体験を基に考案した。末期がんを患い入院していた妻の母を写真館に連れ出し、着物を着せ、メークをしてもらった。義母が妻と手を握り合って撮影した写真は「家族のかけがえのない宝物になった」と言う。
 コロナ禍で、感染リスクの高い高齢者らが祝いの場に出席することが、ますます難しくなっている。そこで写真撮影や家族会への出席を、看護や介護サービスでサポートするアイデアを会員制交流サイト(SNS)でつぶやいてみた。ブーケや写真撮影、ヘアカットなどさまざまな分野で、協力を申し出てくれる人が相次いだ。
 今月五日、コロナ禍で結婚式を開けずにいた二十七歳の女性が、末期の肝硬変と肝がんで入院中の母、榎田喜美子さん(56)=江戸川区=にウエディング写真を贈った。
 女性は十月に「ハレ」のサポートを受けて榎田さんが出席する結婚祝いを開く予定だった。それを前に、榎田さんは自宅で倒れ、救急搬送された。そこでハレの提案を受けてウエディング写真を撮影し、病室の母に結婚報告をすることにした。ドレス姿の娘の訪問を受けた榎田さんは「すごーい、すごいね」。ベッドの上で写真をいとおしそうに見つめ、涙ぐんだ。女性は「母が喜んでいると分かり、うれしかった。本当にほっとしました」とほほを緩めた。(中村真暁)

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