競技性の高さにプロ棋士もハマる!ポケモンカードゲーム 記者が藤井九段に挑戦<サブカルWorld>(9)

2021年9月28日 07時35分

駒からカードに持ちかえ、記者と対戦する藤井猛九段

 今年10月で25周年を迎える「ポケモンカードゲーム(ポケカ)」に注目が集まっている。コロナ禍による巣ごもり需要もあり、売り切れが続出。世界中に愛好者がおり、子どもから中高年まで幅広い年代がプレーしている。ポケカを愛好し、大会の優勝歴もある将棋のプロ棋士、藤井猛九段(50)は「無限の戦法、戦い方がある」と競技性の高さを強調。昨年から子どもと一緒にポケカを始めた記者が藤井九段に“挑戦”し、その魅力を探った。
 四十二歳の記者がポケカにハマったのは昨年夏。長男の六歳の誕生日にプレゼントしたのがきっかけだった。コロナ禍で自宅での時間が長く、家族と何度も対戦した。驚いたのはゲームバランスの絶妙さと戦略性の高さ。今は新商品の情報をチェックし、カードショップにも足を運ぶなど、のめり込んでいる。
 藤井九段も息子の影響で興味を抱いたという。「棋士や女流棋士の間で流行していて誘われた。大学でポケモンサークルに入っていた息子にルールを教わり、やってみたら、いろいろ考えるのが楽しくて」。二〇一九年には公式大会で優勝するなど、今やポケカ愛好者の間でも知られた存在だ。
 ポケカの勝負は、対戦の卓に着く前から始まっている。無数にあるカードの中から六十枚を選び、「デッキ」と呼ばれる自分だけのカードセットをつくる。これが非常に重要で、楽しいところでもある。「一枚のカードを入れるか入れないかで、戦い方が全然変わる。大会の前の晩はいつも、どんなデッキで挑むか悩んでいる」と藤井九段。将棋でも画期的な新戦術「藤井システム」を編み出した研究家は、ポケカ研究にも余念がないようだ。
 早速、一戦お願いすることに。家族以外の人と対戦するのは初めてで、カードを切る手が少し震える。対戦中は相手のカードも切る必要があるが、このご時世、人の物に触れるのは気を使う。代わりに「上から三枚、下に送ってください」と指定すればいい、と藤井九段が教えてくれた。間にアクリル板を置くなど、感染対策を取りつつプレーすることは十分可能そうだ。
 さあ試合開始。複数種類いるポケモンをうまく山札から持ってくることができ、強いポケモンに「進化」させて有利に立てた。対する藤井九段はポケモンを進化させられず、苦しそうな表情。「ここが勝負どころ」と長考に沈んだ。将棋のように何手も先を読んでいるのか、待つこちらも緊張感が高まる。ルールはなかなか複雑で、頭を使うゲーム性は将棋やマージャンに近いかもしれない。
 しかし藤井九段の作戦は不発に。こちらのポケモンも倒されたが、反撃が決まり勝つことができた。「息子さんとやり込んでますね」とお褒めの言葉もいただいた。対戦後は感想戦も盛り上がる。藤井九段は、最初に山札からよけて伏せる「サイド」と呼ばれる六枚のカードに重要なポケモンが軒並み追いやられ、苦戦したようだ。力量の差を運で挽回できるのも、ポケカの魅力の一つだろう。
 コロナ禍で「対戦は久しぶりだった」という藤井九段。その後も、好きなポケモンやお薦めのデッキなど、話題が尽きない。「今は大会が中止になっているのが残念。カード好きが集まって、わいわいプレーできる日が待ち遠しい」と再戦を誓い合った。
 「会話の少なくなっていた息子と、今はポケカの話題で盛り上がっている」と藤井九段も語るように、ポケカは格好のコミュニケーションツールでもある。記者も家族と一緒に、腕に磨きを掛けていきたいと思った。 (樋口薫)
(1)両者、60枚のカードでつくったデッキを用意する
(2)自分のデッキから手札を7枚引き、手札からポケモン1匹をバトル場に出す
(3)サイドに6枚を伏せて置き、残りは山札にして、対戦開始
(4)手番の人が山札から1枚引く
(5)ベンチにポケモンを出したり、ポケモンにエネルギーをつけたりして、戦いの準備をする
(6)ワザを使って相手ポケモンに攻撃したら自分の番が終了
(7)相手ポケモンがきぜつしたら、サイドからそのポケモンごとに定められた枚数(1〜3枚)を手札に加える
(8)交互に(4)〜(7)を繰り返し、サイドの6枚をすべて取った人の勝ち

◆カードの種類

ポケモン
 それぞれ固有のワザや効果を持ち、バトル場に出て戦う。攻撃されてHP(エイチピー)がゼロになると「きぜつ」する。「進化」して強くなることも。
エネルギー
 ポケモンにつけることでワザが使えるようになる。ポケモンと同じく、みず、かみなり、ほのおなどのタイプに分かれている。
トレーナーズ
 さまざまな効果で戦いを手助けする。「サポート」「グッズ」「スタジアム」の3種があり、グッズは自分の番に何回でも使える。
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<ポケモン(ポケットモンスター)> 1996年から始まったゲームシリーズ。ピカチュウなどさまざまなポケモンを捕まえて育成し、対戦する内容。ゲームソフトを原点にカードゲーム、アニメ、アプリ、キャラクター商品など幅広く展開され、世界中で人気を集める。ポケモンカードゲームも96年の発売。国内外で公式大会が開催され、美麗なカードを収集するコレクターも。国内では新商品が入手しづらい状態が続いており、販売するポケモン社は「製造態勢の強化を継続して実施する」としている。
*「サブカル」とは、漫画、アニメ、ゲームに代表される「サブカルチャー」の略語。この欄は、沼のように奥深いサブカルの魅力をお届けします。毎月第4火曜日掲載。

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