画像編集ソフト、スキャナーで偽造か 東山魁夷など有名画家を次々と…偽版画事件

2021年9月28日 13時27分
 日本を代表する画家東山魁夷さんや平山郁夫さんら有名画家の絵画を基にした版画の偽作が流通していた事件で、著作権法違反容疑で警視庁に逮捕された版画工房経営北畑雅史容疑者(67)が、画像編集ソフトを使って偽作を制作していたとみられることが、捜査関係者への取材で分かった。
 捜査関係者によると、画商だった加藤雄三容疑者(53)=同法違反容疑で逮捕=が約10年前、知り合いだった北畑容疑者に偽作の制作を依頼。北畑容疑者が偽作を制作し、それを受け取った加藤容疑者がほかの画商や百貨店に販売していたとみられる。
 北畑容疑者は、金属板を使用する「リトグラフ」と呼ばれる技法で偽作を制作していた。その際、既存の作品をスキャナーで読み取り、画像編集ソフトで色彩などを解析。色ごとに金属板の元板をつくってインクを塗り、紙に刷って版画を作っていた。東山さんらの正しい作品情報を記した「レゾネ」(総作品目録)も参考にしていたとみられる。
 警視庁が加藤容疑者の関係先から押収した約80点の版画のうち、東山さんや平山さん、片岡球子さん、有元利夫さんらの約30点は偽作と確認された。
 北畑容疑者はこれまでの調べに、金に困っていたという趣旨の話をしており、警視庁は金銭的な動機があったとみて調べる。

◆取引管理に「ブロックチェーン」も

 偽作問題に焦点が当たる中、ブロックチェーン(分散型台帳)の技術を活用して、美術品の取引履歴などを追跡できるようにする取り組みが注目されている。
 ブロックチェーンとは、過去からの取引記録を暗号技術を使いながら、鎖のようにつないでネットワーク上で管理するシステム。参加者全員が同じデータを見ることができるため、取引が透明になり改ざんに強いとされる。ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)の基盤技術となっていることで知られる。

自らの作品の前で、携帯電話でICタグの情報を読み取るアーティストの今西真也さん=東京都中央区のギャラリーで

 IT関連会社「スタートバーン」(東京都文京区)は昨年3月、ブロックチェーンを活用して美術品を管理するサービスを本格的に始めた。額の裏に付けるなどしたICタグにスマートフォンをかざすと、作品の制作年や販売先、取引価格などを見ることができる仕組みとなっている。
 アーティストの今西真也さん(30)は今年に入り、このサービスを使っている。今西さんは「ブロックチェーンを使う手法は世界的に普及している。できるだけ取り入れたい」と話す。
 健全な美術市場の発展を目指す文化庁も、ブロックチェーン技術を使った美術品の管理について検討をしている。(佐藤大)

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