香港民主化デモ 思い出話で片付けない カメラマンの中村さん、新宿で写真展

2021年9月29日 07時21分

香港の民主化運動を撮影した中村さん=新宿区の「カフェ・ラバンデリア」で

 香港の民主化運動を追い続けているカメラマン、中村康伸さん(51)=横浜市=の写真展「香港の憂鬱(ゆううつ)」が新宿区新宿2の「カフェ・ラバンデリア」で開かれている。民主化の動きが抑え込まれている香港。中村さんは「かつて民主化デモがあった、という思い出話で片付けてはいけない」と話す。(佐藤大)
 中村さんは知人のジャーナリストに誘われ、二〇一四年に初めて香港を訪れた。当時は香港行政長官選挙を巡り、中国政府が民主派候補を実質的に排除する選挙制度を取り入れたことに市民らが抗議した「雨傘運動」の真っただ中。以来、一九年夏まで計十一回、現地に通い、民主化運動の現場をカメラに収めてきた。
 写真展は世界の民衆運動に関心を寄せる店側が中村さんに声を掛けて実現した。演説中の民主派の男性を捉えた写真には「香港国安法(国家安全維持法)により収監中」と説明がある。警察署からデモ隊に向けて催涙弾が発射された直後の写真も含め、約五十点の一枚一枚に日付や添え書きを付け、民主派の歩みや苦境を伝えている。
 中村さんは最初、雨傘運動に遭遇した時、平和なお祭りのような雰囲気を感じたが、警察隊がデモ隊の排除に乗り出すと、にわかに緊張が走ったという。デモ隊排除で全て終わるかに見えたその時、道路の反対側から「真の普通選挙を!」とシュプレヒコールが上がり、心に決めた。「諦めない人たちがいるのなら、見続けなければ」
 デモ隊と警察隊の激しい衝突や街の変化を追い続け、催涙弾を浴びて危険を感じる場面もあったという。
 香港では昨年、国安法が成立、施行され、言論統制が進む。気掛かりだが、コロナ禍で足を運べない。「香港は静かになったと言われるが、アクションがないだけで状況は変わっていない。写真展を少しずつ、しつこく続けたい」
 十月三日まで。店がオープンする月、水、金、日曜の午後二〜八時(最終日は午後七時半まで)。問い合わせは、同店=電03(3341)4845=へ。

関連キーワード

PR情報

東京の新着

記事一覧