【解説】岸田新総裁「負の遺産」に向き合わず 安倍・菅政治の継続を選択

2021年9月30日 06時00分
自民党の新総裁に選ばれ、菅首相(左)に花束を贈り握手を交わす岸田文雄氏=東京都内のホテルで

自民党の新総裁に選ばれ、菅首相(左)に花束を贈り握手を交わす岸田文雄氏=東京都内のホテルで

 自民党総裁選は、国民への説明責任を軽視する安倍・菅政治を継続するか転換するかが大きな争点だった。岸田文雄氏は、新自由主義からの転換や再分配を訴えたものの、森友学園問題に象徴される「負の遺産」に正面から向き合う姿勢は見せずじまい。自民党は、安倍・菅政治の継続を選択したと言える。
 安倍晋三前首相と菅義偉首相は、新型コロナウイルス対応を含め、異論に耳を貸さず、国民との対話に後ろ向きな姿勢が目立った。総裁選は、こうした「説明しない政治」を見直す機会になり得た。その試金石が森友学園問題の再調査。決裁文書改ざんという前代未聞の事態に至った背景など、未解明な部分が多い。
 しかし、岸田氏を含め、野田聖子幹事長代行を除く3候補からは、真相究明に取り組むという声は聞かれなかった。9年近い安倍・菅政治を真摯(しんし)に総括することもなく、自民党として自浄作用の限界が浮き彫りになった。加計学園や桜を見る会の問題を含め、長期政権で表面化した疑惑にふたをしては政治への信頼を取り戻すことなどできない。
 岸田氏は、安倍氏がこだわった改憲を在任中に実現する意欲も示した。決選投票での安倍氏の支持を期待したとみられるが、今後の政権運営でも安倍氏の影響を受ける可能性が高い。
 一方、野党第1党の立憲民主党は、政権を獲得したら初閣議で「森友・加計・『桜』問題真相解明チーム」を発足させると公約している。11月までに行われる次期衆院選が安倍・菅政治を継続するか転換するか、私たち国民が選択する機会となる。(生島章弘)

おすすめ情報