<民なくして>コロナ対策、少子化、貧困問題…自民・岸田新総裁に市民は何を望んでいるのか

2021年9月30日 06時00分
 菅義偉首相の後継となる自民党新総裁に決まった岸田文雄前政調会長に対し、現在の政治の至らなさを指摘した人たちは、何を感じたか。近づく衆院選にどのように向き合うのか。18日から随時掲載している本紙の企画「民なくして」で登場した市民に、あらためて意見を聞いた。(宮本隆康、加藤益丈、中村真暁、奥野斐)

◆「改革に挑む感じではない」

尾和正登さん

 「コロナ対策をきちんと議論せず、党内の有力者の調整で生まれた新総裁で、新しい政策や根本的な改革に挑む感じではない」
 岸田氏の印象をこう語るのは、東京・新橋で居酒屋を2軒経営する尾和おわ正登さん(53)。営業自粛で社員を減らし、協力金の支給遅れに苦しむコロナ禍の1年半を18日付朝刊で振り返った。飲食店への対応を含めコロナ対策が不十分な政治に怒りは消えない。衆院選が近づくが「首相が代わっても、私の投票先に影響することはない」と淡々。

◆「医療現場分かっている感じ」

大谷義夫さん

 「岸田氏は新型コロナの内服薬の年内普及を目指すと言っており、4人の総裁候補の中で一番、医療現場を分かっている気がした」。東京都豊島区の「池袋大谷クリニック」院長の大谷義夫さん(57)は期待する。
 発熱患者を診察する大谷さんは20日付朝刊で、医療体制が逼迫した8月、政府が入院対象者を重症者らに限ろうとしたことに憤りをあらわにした。
 心配される第6波を最小限にとどめるにはワクチン接種の拡大と、内服薬の普及が重要とみるが、衆院選は別の視点で投票したいという。「コロナは緊急の課題だが、一番大切なのは少子化問題。与野党ともしっかり考えた政策を出して」

◆「一人一人への支援や保障の充実を」

生活困窮者支援団体の女性職員

 自民党員らしか投票できない総裁選を「勝手に盛り上がっている印象だった」と評するのは、コロナ禍で仕事や居場所を失う経験をした都内在住の20代女性。23日付朝刊で、死を選ぶことも考えた窮状を語った。
 岸田氏には「今はみんな困っている。コロナ禍でぶっ壊れたものをどうにかしてほしい。一人一人への支援や保障を充実させ、再び困難な情勢になっても、今回のような状況に陥らない対策を」と要望した。
 現在は生活困窮者支援団体の事務所で働く。「政治と自分の生活とのつながりを実感するようになった。衆院選の投票先は、首相が代わって政治が今後どう変わるのかも参考にしたい」

◆「子ども育てやすい国に」

認可保育園の休園中、40代の母親は仕事を休まざるを得なかった(本人提供)

 「首相として所信表明演説を聞いてみないと、どんな人か、やる気があるのか分からない」。横浜市で保育園児と小学校低学年の2人姉妹を一人で育てる40代女性は冷ややかだ。
 26日付朝刊で、コロナ禍で収入が減った上、子どもを預ける保育園が休園した際は長期間働けずに貯金を取り崩す暮らしぶりを明かした。「子どもや親世代への支援が足りない。コロナ禍でより一層、子どもを育てにくい国だと実感した。衆院選では、生活がより良くなるような候補者に投票したい」と話した。

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