1万円よりお先に小惑星になった渋沢栄一 火星、木星間に「Shibusawaeiichi」誕生
2021年9月30日 12時00分
近代日本経済の父といわれ、2024年から新1万円札の肖像となる実業家・渋沢栄一の名前が、出生地である埼玉県深谷市の後押しを受け、宇宙空間に刻まれることになった。太陽系の火星と木星の間の軌道を巡る小惑星に学名「Shibusawaeiichi」が付けられ、国際天文学連合(IAU、本部パリ)で今月認められた。渋沢の功績の説明文とともに、小惑星名に関するIAUの辞典に掲載される。(渡部穣)
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小惑星は火星と木星の間の小惑星帯にあり、直径は推定約3キロ、太陽の周りを約3.39年かけて回っている。札幌市のアマチュア天文家渡辺和郎さん(66)らが1996年11月に発見した。渡辺さんは800以上の小惑星を発見した世界的「小惑星ハンター」として知られ、「時計台」「寅 さん」など多くの星の名付け親になっている。
渋沢の出生地である深谷市は、郷土の偉人を生かした街おこしの一環として小惑星への命名を発案。市職員が、交流のある宇宙航空研究開発機構(JAXA)の元職員を通じて、実績のある渡辺さんに協力を依頼した。渡辺さんは渋沢や深谷市にゆかりはないものの「著名人なので知っていた」と快諾し、昨年4月に命名申請した。
29日に同市役所で記者会見した渡辺さんは、渋沢が主人公のNHK大河ドラマ「青天を衝 け」も見ていると明かした上で「せっかくだから有名になってほしい。決まって良かった」と笑顔だった。
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