コロナ対策必要なのに…経費に充てる「特例加算」打ち切り 診療・介護報酬 現場には戸惑いも

2021年9月30日 18時57分
 政府は30日、新型コロナウイルス感染症対策を促す目的で全医療機関に実施してきた診療報酬の特例加算を廃止した。10月以降は対策の実費分を補助するが、これも年内で打ち切る。コロナ診療に当たる医療機関の支援に重点を移すためだが、冬に向け「第6波」が懸念される中での支援縮小に戸惑いも出ている。(曽田晋太郎、大野暢子)
 特例加算は4~9月に防護服や消毒液の購入、職員研修などの経費として初診・再診は1回50円、入院は1日100円を上乗せ。加算により患者の窓口負担(1~3割)も増えていた。

◆年内は申請すれば実費補助

 厚生労働省は感染症対策の負担は今後も生じ続けるとして、特例の延長を求めていた。これに対し財務省は3月以降の医療機関の経営状況がコロナで落ち込む前の2019年と比べ改善しているとして、コロナ対応をする医療機関への支援に集中すべきだと主張し、廃止が決まった。
 特例廃止の代わりに、自宅・宿泊療養者の緊急往診時の診療報酬を9500円から3倍に引き上げ、さらに抗体カクテル療法を使った場合は5倍に引き上げた。
 医療機関などが10~12月の感染対策費の補助を求める場合は申請が必要。申請手続きのため支給が遅れる恐れがある。支給額の上限も設けられ、病院10万円、病床のない診療所は8万円などとなっている。
 同様に介護・障害福祉事業者に支払う報酬の特例加算も9月で打ち切り、実費を補助する制度に変えた。

◆野党は制度の延長を要望

 立憲民主党は29日、特例加算の延長を求める要請書を厚労省に提出。山井和則衆院議員は「コロナ患者を診るかどうかにかかわらず、対策経費が必要だという趣旨で始まった制度のはずだ」と政府を批判。長妻昭元厚労相は第6波への備えとして、来春までの延長を求めた。
 全国医師ユニオンの植山直人代表は「コロナ診療をしない医療機関にも発熱した人らは訪れており、感染対策は必須だ。なぜ特例をなくすのか、政府は十分な説明が必要だ」と語った。
 東京都新宿区で訪問介護などを行う有限会社ナイスケアの塩川隆史代表は「感染対策費には毎月数万円かかっており、特例の廃止は痛い」と明かす。実費補助が年内で終わる点には「介護現場での感染拡大を防ぐため、対策が必要なのは年明けも同じだ」と違和感を語った。

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