欧州でガス高騰、半年で約5倍 食品供給など国民生活直撃 ロシア黒幕説も

2021年10月1日 19時31分
英国のジョンソン首相

英国のジョンソン首相

 【ロンドン=加藤美喜】新型コロナウイルス禍からの経済回復に伴い、欧州で天然ガスの価格が高騰し、光熱費の値上がりなどで国民生活に影響が出ている。英国では価格上限が設定されているため、中小のエネルギー会社がコスト上昇分を小売価格に反映できず、9月だけで9社が経営破綻した。影響は食品流通などにも波及。欧州ではロシアが価格操作をしているとの説も浮上している。

◆中小エネルギー会社が次々破綻

 英国では9月29日、新たにガス・電気小売りのイグルーエナジーなど3社が事業継続を断念。9月に破綻した計9社の顧客は約170万世帯に拡大した。
 欧州の天然ガス価格指標(オランダTTF)はこの半年で約5倍に上昇。ジョンソン英首相は9月下旬、ガス高騰は「経済再開に伴う世界的な需要増が主因で、問題は一時的なものだ」と英BBCに答えたが、その後も高騰は続き、30日の指標は最高値を更新。今月からガス・電気の基本料金の上限は12%増加し、冬を控えて国民の懸念は強まっている。

◆風力の出力減、寒波で備蓄も減 食料供給に影響

 英国はガスと再生エネルギーが発電源のそれぞれ約4割を占める。今年は風が吹かずに風力発電の出力が減ったうえ、昨冬の寒波でガスの備蓄も減少、アジアでの需要増などもガス高騰の要因として挙げられている。
 余波は食品関係にも。ガスを多く使う肥料工場が操業を休止し、副産物で生じる産業用二酸化炭素(CO2)の生産がストップ。炭酸飲料や肉のパッキングなどに注入され、ドライアイスとしても使われることから、かねてのトラック運転手不足と相まって食品供給への支障が出ている。

◆「パイプライン早期承認の駆け引きだ」ロシア批判も浮上

 英政府は最大輸入先のノルウェーなどから天然ガスを確保できると強調するが、輸入の4割をロシアに頼る欧州連合(EU)内では、高騰の背景に別の見方も浮上。ロイター通信によると、欧州議会の議員約40人は先月、ロシアの国営ガス会社ガスプロムが意図的に価格を押し上げている疑いがあるとして、欧州委員会に調査を要請。ロシアとドイツを結ぶパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働を早期承認させるための駆け引きに使っていると批判している。

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