放浪の画家・江戸川の宇野さん 創作の軌跡 画集出版へ インターネットで支援金募る

2021年10月3日 07時06分

自伝を手に、クラウドファンディングでの支援を呼びかける宇野さん=台東区で

 日本の現風景と、そこに生きる人々を油彩画を中心に描き続ける放浪の画家、宇野マサシさん(73)=江戸川区。五十年以上にわたる創作の軌跡をまとめた画集「賚−らい−」の出版を目指し現在、インターネットで支援金を募るクラウドファンディングを行っている。(井上幸一)
 コロナ禍で多くの芸術家が発表の場を失われる中、画集の発行は「紙上展」との位置付けだ。「絵は描く者と鑑賞する者で成り立つ。発表する機会がないと絵は死んでしまう」との思いがある。
 愛知県豊田市出身。画家を志して十九歳で上京し、新宿美術研究所で基礎を学んだ。画集には、刺激的な色彩でニワトリを描いた二十代の作品から、労働者の街、西成地区(大阪市)に一年間住み、目に見えない空気や温度まで残そうとした二〇一〇年代の作品まで、約百点を体系的に収めるという。
 アトリエにこもるのでなく、日本全国を旅して、常に現場で筆をとるのが流儀。「肌で感じたままを描くことで、津々浦々に埋もれている生活のにおいを表現できる」との信念がある。「たまわりもの」との意味のある画集の「賚」のタイトルには「風景との出会いは、全て天からのたまわりもの」との思いを込めた。

「賚−らい−」に収録予定の西成地区(大阪市)で描いた「太子の兄弟」(2012年、皓星社提供)

 「画業を残し、私の一つの区切りにしたい」と支援を呼び掛ける宇野さんは、コロナ禍に触れながら「混乱した情勢が終息した暁には、出版記念の展覧会を開く」と決意を語る。
 十一月一日までのクラウドファンディング(「レディフォー」「宇野マサシ」で検索)の目標額は百万円で、寄付額によって異なる返礼品は画集や絵はがき、油絵など。
 画集は来年初めに五百部ほどの発行を目指しており、支援者の名前を掲載する。
 寄付は郵便局からの払い込みでも可能。詳しくは、出版社の皓星( こうせい)社=電03(6272)9330=へ。

関連キーワード


おすすめ情報