あなたの“美男”見つけて 歌舞伎役者の錦絵、漫画「風と木の詩」など 県立近代美術館で展覧会

2021年10月3日 07時39分

「共生関係〜自動幸福」(2008)と川井徳寛さん=さいたま市浦和区の県立近代美術館で

 日本の視覚文化における男性像の理想を多角的に探る展覧会「美男におわす」が県立近代美術館(さいたま市浦和区)で開かれている。日本の美術史で女性像が「美人画」として一ジャンルを形成するのに対し、影が薄い「美男画」にスポットを当てる試み。日本画、浮世絵、漫画、アニメ、ゲームとさまざまな手法で表現された、その時代の理想の男性像を探っていく。十一月三日まで。(前田朋子)
 タイトルの「美男におわす」は、歌人の与謝野晶子が鎌倉の大仏を美男とみて詠んだ「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼(しゃかむに)は 美男におわす 夏木立かな」にちなむ。二〇一四〜一五年に島根県立石見美術館で開催し、異例の人気を集めた「美少女の美術史」展に寄せられた「ぜひ次は美男を」との声を受け、石見・埼玉近美で共同企画された。
 展覧会では主に江戸期以降に描かれた日本の「美男」に絞って紹介。美少年として伝説的に扱われていた源平の貴公子や、天草四郎らに始まり、歌舞伎役者の錦絵、明治期に始まる少年雑誌の挿絵、漫画「風と木の詩」や「パタリロ!」、アニメ「聖闘士星矢」の原画や複製画など多彩な作品約百四十点が並ぶ。

高畠華宵「月下の小勇士」1929、弥生美術館(後期展示)

 展覧会のメインポスターにも使用されている「共生関係〜自動幸福」(二〇〇八年)を出品している川井徳寛さんは、少女画の第一人者・高橋真琴さんに憧れていたこともあり「バラを背負った美少年をまず描きたかった」と話す。
 白馬に乗った王子は悪魔を退治しているが、よく見ると何もしていない。実際に闘うのは周りにいる天使のような少女たちで、バラにストローをさし、王子の美しさを吸ってエネルギーとし、共生関係が成り立つという仕掛けだ。アブラムシとアリの共生がヒントとなった。「色彩や華やかさに加え、『どういう物語なのかな』と考えながら見てほしい」と話す。
 企画した近代美術館学芸員の佐伯綾希さんは「男性は外見が美しくなければならないというメッセージを発信するものではない」と強調する。理想の男性像が社会に受容されてきた時代背景などを知り、現代人の視野を広げるのが目的といい、「『男性はこういうもの』という固定観念を見直し、今後の男性像を議論する場を提供できれば」と期待を込める。
 十月十日までが前期、十二日からは後期で、一部展示替えがある。一般千二百円、大学・高校生は九百六十円。月曜休館。県立近代美術館=電048(824)0111=へ。

(右)左右に7人ずつの「肉食」「草食」男子を描いた木村了子さん「男子楽園図屏風-EAST&WEST」(右隻) (左)同(左隻)=いずれも2011、作家蔵、撮影・宮島径さん


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