元気いっぱい!シルバー川柳の世界 年を取る どれもあるある 笑っちゃう

2021年10月4日 07時22分
 いま、「シルバー川柳」が熱いのかもしれない。高齢者の生活を題材にしたり、高齢者自身が詠んだ川柳だ。ここ10年ほどで作品集のシリーズが相次いで出版され、いずれも累計で数十万部というロングセラー。書店には8、9月に出た最新刊が並ぶ。盛り上がりを見せる世界をのぞいてみた。 (北爪三記)
 先月、公益社団法人全国有料老人ホーム協会(東京都中央区)が、毎年三〜六月に公募している「シルバー川柳」の入選作品二十点を発表した。二十一回目の今年は、過去最多の一万六千六百二十一句の応募があったという。
 公募は、協会の設立二十周年を記念して二〇〇一年にスタート。高齢社会や高齢者の日々の生活に関する作品であれば、年齢制限などはなく、誰でも応募できる。今回も十六〜百六歳と幅広い世代から作品が寄せられた。

イラストはいずれも古谷充子 『シルバー川柳11』より

・お互いに 返事はするが 動かない (60歳男性)
・おはようの ラインがくるのは 朝の五時 (17歳女性)
・「密です」と言われてみたい頭頂部 (62歳男性)
・BTSテレビ局だと思ってた (40歳女性)
入選作の一部だ。
 「少しでも笑顔になってもらえたら、と始まった企画です。年を取って衰えを感じた時も、ユーモアを交えた川柳を通してみんなで共有できる。『私も』『私も』と共感が広がっているのではないでしょうか」。協会の福澤真美さん(34)は言う。入選作品を決める最終選考の投票には、協会会員のうち希望したホームの入居者も参加している。
・年寄りと思った人が同い年 (アラフォー女性)
・ペイペイは 部下のことかと聞く親父 (60歳男性)
・寡黙だが政権批判だけスゴイ (28歳男性)
 今回の入選作品と前回の応募作から計八十八句を収めた『シルバー川柳11 メルカリで売って買っちゃう孫のもの』(ポプラ社、一一〇〇円)は、先月発売。一二年九月に刊行した第一弾からシリーズ累計九十二万部を突破した。十一月には、これまでの入選作から約百点をえりすぐった初の傑作選を出す予定という。
・五十肩と いわれてわたしはまだ若い (90歳女性)
・九十二 五年日誌を孫がくれ (92歳男性)
・無農薬食事のあとに薬飲む (95歳男性)
・あの世行きワクチン試してからにしよ (92歳女性)
・聞かれても 忘れましたと生年月日 (101歳女性)
 河出書房新社も一三年一月から『シルバー川柳』シリーズを刊行している。こちらは六十歳以上が対象。八月に第十六弾が出たほか、九十歳以上の作品を集めたシリーズも、九月刊行の『超シルバー川柳 毎日が宝もの編』(一一五〇円)で四冊目。すべて合わせて四十六万部を超えた。
 基になっているのは、月刊フリーペーパー「みやぎシルバーネット」(仙台市)だ。一九九六年の創刊当初から募集したのが「シルバー川柳」だった。千葉雅俊編集長(60)は「紙面作りに参加してもらおうと考えたんです。当時、ネットで検索しても『シルバー川柳』という言葉は見当たらなかった。先駆けだと思います」と振り返る。
 同紙の看板コーナーとなった「シルバー川柳」は、東日本大震災の直後も投稿が途切れることはなかった。「励まし合うような句も多かった。投稿を通して日常を取り戻そうとしたのかもしれません」
 句を寄せる人たちからは「最後の趣味です」などと、生きがいにしている様子もうかがえる。コロナ禍で外出がままならず、「知人の名前を見て安心した」という反響もあるそうだ。
 配布エリアは仙台市と近郊で、ホームページでも紙面を見られる。一カ月に二百数十通届くはがきは東京や大阪、九州からも。河出書房新社の編集部でも投稿を受け付けており、双方から本の掲載作品を選ぶ。第十六弾に達したシリーズは来年から刊行回数を増やし、一、五、九月に出す予定という。

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