東海村民が福島第一原発視察 自分ごと化会議 「厳しい基準で管理」「リスク語る姿勢に欠ける」

2021年10月4日 07時47分

建屋を覆う大型カバーの設置準備が進む1号機を見学する参加者

 日本原子力発電東海第二原発が立地する東海村の住民らが三日、東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の事故収束作業を視察した。東海第二の再稼働問題などを議論する村主催の「自分ごと化会議」のメンバー十四人。廃炉や汚染水浄化処理の現場を見学し、「非常に厳しい基準で管理していることが分かった」「東電はリスクを語る姿勢に欠けるのでは」などと話し合った。(長崎高大)
 参加者はまず、東電廃炉資料館(福島県富岡町)で福島第一の現状について説明を受けた。その後、バスで約二十分かけて原発構内に移動。高濃度汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPS)や、敷地内に林立する処理済み汚染水の貯蔵タンクなどを車内から見学した。
 事故を起こした1〜4号機が見渡せる約百メートル陸側の地点では、バスを降りて作業の様子を確認。水素爆発で屋上部が吹き飛んだ1号機では、使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しに向け、がれき撤去に伴う放射性物質の飛散を防ぐ大型カバーの設置準備が進められていた。
 1〜4号機付近では放射線量が急激に上がるため、十五分ほどで離れた。

処理済み汚染水のサンプルを参加者に示す東電の担当者(左)=いずれも福島第一原発で(代表撮影)

 視察の最後には、東電の担当者がプラスチックケースに入った処理済み汚染水のサンプルを示し、トリチウムを除く放射性物質は含まれていないと強調。参加者は手に取り「見た目は普通の水と変わらない」などと話していた。
 政府は四月、処理済み汚染水の海洋放出を決定したが、県内の漁業者などは、風評被害への懸念を繰り返し表明している。
 同行した記者の線量計は、構内を出る際には積算二〇マイクロシーベルトを表示していた。

「東京電力廃炉資料館」で福島第一原発の現状について説明を受ける参加者=福島県富岡町で

 その後、参加者は廃炉資料館に戻って意見交換。海洋放出について「よく分からないものを流すイメージだったが、説明を受けて放出しても大丈夫だと思った」と理解を示す声が上がった一方、「放出には賛成だが、東電は安全ばかり強調している」との指摘もあった。
 男性会社役員(44)は「ニュースで見たままの景色を自分の目で見られて、今後原発問題と向き合う上でいい経験になった。日本でこうした事故が起きてしまったことが悔しい、と改めて思った」と振り返った。
 自分ごと化会議は昨年十二月以降、三回開かれ、無作為に選ばれた村民が原発問題を話し合ってきた。次回は九日、今回の視察を踏まえて「東海第二原発が立地することによる地域の課題」「東海第二原発そのものが抱える課題」をテーマに開催する。

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