衆院解散から5日で衆院選へ、「ご祝儀相場」狙いの最短日程 31日投開票の背景は?

2021年10月5日 06時00分
 岸田文雄首相は4日、今月14日に衆院を解散し、衆院選の日程を19日公示・31日投開票とする方針を明らかにした。解散から、わずか5日後に選挙戦へ突入する強行日程だ。新政権の発足直後は世論の支持を得やすいとされる「ご祝儀相場」のうちに信を問う方が有利だと判断した。新型コロナウイルスの感染状況が再び悪化する可能性も視野に、当初の想定を1、2週間前倒したが、野党が要求した予算委員会の開催見送りが確定し、国会軽視の批判も出そうだ。(川田篤志、我那覇圭)

◆解散から選挙、過去最短の17日間

 「新しい内閣が発足した勢いのまま、選挙に臨めば良い結果が出る。1週間早まっただけでも野党にとってダメージは大きい」
 自民党中堅議員は、首相の選挙戦略に膝を打った。
 現行憲法下で衆院解散から投開票まで最も短かったのは、1983年の第1次中曽根内閣時の20日間で、今回は最短となる17日間。期日前投票所の確保や選挙公報の作成に一定期間が必要という実務上の問題があり、今の臨時国会の日程が今月中旬まで固まっているため、11月7日か14日の投開票が有力視されていた。
 だが、首相は衆院解散を事前に周知することで、自治体に準備を促す「裏技」を駆使し、条件をクリア。岸田派の若手は「何も聞いていなかった。与野党ともに不意打ちだ」と漏らす。

◆コロナ禍で早まった見方も

 9月末に自民党総裁選が行われ、首相が交代したことから、今回の衆院選は現行憲法下で初めて衆院議員の任期(10月21日)を越えて実施される。できるだけ早期に選挙期日を設定することは「憲政の常道に反する」(立憲民主党幹部)状態や、行政運営が実質的に止まる「政治空白」を少しでも短期間にしたという大義名分も立つ。政権維持を前提に、年内に予定する「数十兆円規模」(首相)の経済対策の裏付けになる2021年度補正予算の成立や、22年度予算案の編成に支障が出ないよう配慮したという見方もある。
 党内では、コロナ禍との関係もささやかれる。緊急事態宣言などは先月30日、一斉解除されたものの、菅政権では直後のリバウンド(感染再拡大)が相次いだ。対応が後手に回っているとみられれば、同様に内閣支持率の低下につながる可能性は高い。
 党幹部は「今はコロナの流行も沈静化している。選挙は早めにやった方が良い」と強調する。

◆安倍元首相の影響を受けた人事

 「どこが『人の話を聞く』のか。国民に説明しようという姿勢があるのか」
 立憲民主党の枝野幸男代表は4日の党会合で、首相が自任する「特技」を引き合いに、予算委を見送る方針を批判した。衆院選の日程については「今の自民党なら、こういうむちゃもあり得ると想定し、31日投票の日程で(選挙準備を)組み立てている」と語った。順次、衆院選公約の策定を進める考えだ。
 首相は経済政策で「成長と分配の好循環」を掲げ、立民と似通った部分もあるが、高市早苗氏の政調会長起用など、新政権の人事は保守色が強い安倍晋三元首相の影響が際立つ。立民幹部は「高市氏なら憲法、ジェンダーなど何から何まで主張が違う。首相も成長優先は安倍氏と同じ。有権者に違いを丁寧に訴えたい」と政策論争を見据えた。

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