中国軍機、台湾の防空圏に4日間で計149機… 国慶節に合わせた国威発揚、「主権を宣言」

2021年10月5日 18時47分
 【北京=中沢穣、ワシントン=金杉貴雄】台湾国防部(国防省)は4日、中国軍機56機が台湾の防空識別圏に入ったと発表した。中国の建国記念日である国慶節の1日から中国軍機は連日、防空識別圏に進入しており、計149機となる。国慶節に合わせた国威発揚のほか、台湾への関与を深めている日米欧をけん制する狙いがある。米国や台湾は「挑発行為」だとして非難を強めている。

中国軍の爆撃機「轟6」=台湾国防部提供

◆夜間も…連日の飛来

 台湾国防部が昨年9月に防空識別圏に入る中国軍機の数の公表を始めてから、4日の56機は最多となる。防空識別圏入りした中国軍機は戦闘機「殲16」、同「スホイ30」、長距離爆撃機「轟6」など。1日は38機、2日は39機、3日は16機だった。
 中国軍機の活動は、大陸に近い台湾南西沖が中心だが、1日には一部が台湾の防衛体制の背後にあたる南東沖の防空識別圏にも入った。日中だけでなく夜間も展開している。多数の軍用機を複数の基地から同時に運用する能力を誇示した。
 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は「建国を祝う軍事パレードが台湾海峡にきた」との見出しの評論を掲載し、「台湾に対する中国の主権を明確に宣言した。国慶節にふさわしく、全国の人民を鼓舞した」と指摘した。

◆西側をけん制、自衛隊は米英などと合同演習

 中国が台湾への軍事的な圧力を強めている背景には、日米豪や欧州などが台湾を巡る動きを活発化させている事情がある。
 海上自衛隊の発表によると、自衛隊は2~3日、台湾に近い沖縄の南西沖で、米英とオランダ、カナダ、ニュージーランドの海軍とともに合同演習を行った。演習には、米空母2隻、英空母1隻が参加した。

共同訓練に参加した米英の空母3隻や海上自衛隊の艦艇=沖縄南西海域で、海上自衛隊提供

 また、6日からはフランス上院の議員団が台湾を訪問する予定だ。中国は台湾が独自の外交活動を強化していることに警戒感をあらわにしている。

◆「緊張、さらに高まる恐れ」

 米国のサキ大統領報道官は4日、中国政府に対し「台湾への軍事的、外交的、経済的な圧迫と強制」をやめるよう要求。「台湾が十分な自衛能力を維持するように支援していく」と述べ、武器売却など軍事的な支援を続ける考えを示した。台湾当局は、米国の関与に謝意を示すとともに、中国側の「無責任な挑発行為」に抗議した。
 一方、中国外務省の華春瑩報道局長は4日の声明で「米国は無責任で間違ったメッセージを出すべきではない」と反発。台湾への武器売却や米軍艦船の台湾海峡通過などを非難し、中国軍の動きは米軍への反発であることを示唆した。
 香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国側専門家の話として、中台間の対話が停止していることから台湾海峡での緊張がさらに高まる恐れがあると指摘した。

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