【詳報・第4回】3人点滴中毒死 「信じていたのに…」母は平手打ちし、抱きしめた 久保木被告は泣き崩れた 

2021年10月7日 10時00分

旧大口病院

「ヂアミトールは無色で、どんなにおいかは覚えていない」

 元同僚の看護師は続いて、ナースステーションでの点滴袋の保管状況などを説明した。点滴の容器には、シールに名前と日時が書かれていたため、どの患者のものか分かるようになっていたという。看護師らは、段ボールから取り出した後、別の薬物を混ぜる作業をしていた。
 元同僚は勤務時間中に1人になる時間帯について、「夜勤は日勤と比べて多いと思います。夜勤は2人だけで、1人が外にでれば、ひとりになります」と証言した。また事件の際に点滴袋に混入したとされる消毒液「ヂアミトール」は通常は医療器具の消毒のため、ナースステーションの流し台の下にあったと説明した。
 検察官は、ヂアミトールと病棟で使われていた他の消毒液の違いなどをただした。
検察官「ヂアミトールはどんな特徴があるか」
元同僚「ヂアミトールは無色で、どんなにおいかは覚えていない」
検察官「マスキン液の特徴は」
元同僚「ピンク色でちょっと甘いにおいがする」
検察官「ハイターはどんな特徴があるか」
元同僚「塩素系の漂白剤で塩素のきついにおいがする」
検察官「用途の違いは?」
元同僚「ヂアミトールとマスキン液は医療器具に、ハイターは患者さんの衣類に使う」
検察官「ヂアミトールは泡立つか」
元同僚「はい」

久保木被告「さっきまでは大丈夫だったのに」

西川惣蔵さん


 2番目の事件で、西川惣蔵さん=当時(88)=が2016年9月18日に亡くなった際、証人の元同僚看護師は日勤のリーダーだった。夜勤は久保木被告と准看護師だった。西川さんの担当は久保木被告で、元同僚が被告らに申し送りをした後に、ブラッディアラームが鳴ったという。このアラームは、心肺や血圧に異常があったときに鳴る。この時、元同僚はナースステーションにいたが、被告はいなかったという。
 検察側の主張によると、久保木被告はアラームが鳴る前に402号室に行き、西川さんに投与中の点滴袋に消毒液「ヂアミトール」を混入したとされる。
検察官「アラームが鳴っていた時、被告はどのように動いていたか」
元同僚「405号室から出て402号室の西川さんのもとにいっていたと記憶している」
検察官「被告の歩き方は」
元同僚「少し足早に歩いていたと思います」
検察官「言動で覚えていることは」
元同僚 たしかナースステーションの前で、「さっきまでは大丈夫だったのに」と独り言のようにつぶやいていました
検察官「口調は」
元同僚「独り言のようなつぶやきをちょっと大きくしたような感じです」
検察官「どんな意味と受け取とった」
元同僚「申し送りが終わって、西川さんの号室にいってそのとき確認したんだと」
検察官「被告の口調にわざとらしさはあったか」
元同僚「それはなかった」
検察官「表情は」
元同僚「ちょっとうかがえなかった」
検察官「不自然な印象は受けなかったということか」
元同僚「はい」
検察官「『さっきまで大丈夫だったのに』と言った時はアラームが鳴り続けていた」
元同僚「はい」
検察官 「アラームがなっているのに声は聞こえるのか」
元同僚「はい。音はそれほど大きくなく、話し声が聞こえる程度で、鳴り方に特徴がある」
 この後、西川さんの死後処置は、元同僚らが担当した日勤で行ったという。元同僚は西川さんの死亡について「日勤の状況を見ていた時には急に亡くなる様子はなかったので驚いた。心電図をつけて、心拍や血圧に異常なく、急に変わるとは思わなかった」と語った。
▶次ページ 久保木被告「孤立した風には見えず」

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