旧大口病院の点滴中毒死事件 久保木被告に無期懲役判決、裁判の詳報記事まとめ

2021年11月9日 17時29分

旧大口病院

 横浜市神奈川区の大口病院(現横浜はじめ病院)で起きた点滴連続中毒死事件の裁判員裁判が21年10月1日、横浜地裁で始まった。当時勤務していた元看護師、久保木愛弓被告(34)が入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われている。公判の詳細なやりとりについて、記事をまとめます。
 初公判。久保木被告は、グレーのジャケットとスカート姿で公判に臨んだ。「すべて間違いありません」と静かに語り、起訴内容を認めた。検察から被告の生い立ちや犯行への経緯が語られた。

久保木愛弓被告

 事件が起きた当時、被告と一緒に勤務していた看護師や死亡した患者の主治医の調書が読み上げられた。事件が発覚していく経緯、病院の勤務状況が明かされた。

横浜地裁の法廷

 薬物中毒の専門家から消毒液が患者の死に与えた影響や、同僚看護師が目撃した被告の不審な動きが法廷で紹介された。
 久保木被告の父親が出廷したほか、母親の供述調書が読み上げられ、被告が犯行を自供した時の両親とのやり足りなどが明かされた。

傍聴券を求めて列を作る人たち

 弁護側の被告人質問が行われ、久保木被告が3人を殺害した時の心境を明かした。法廷の遺族には「私の身勝手な理由で大切なご家族の命を奪ってしまい、大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。
 検察側の被告人質問があり、久保木被告は第1の事件前にヂアミトールを混入させたことがあるかについて「お話したくありません」と語った。
 起訴前に鑑定した医師が検察側の証人として出廷。「統合失調症の症状の幻覚や妄想はまったくなかった」として、刑事責任能力はあったとの見方を示した。

横浜地裁

 起訴後に鑑定した医師が出廷した。犯行時は「統合失調症の前駆症状の可能性」があったと指摘。起訴の3人以外にも「点滴混入で複数死亡させた」と医師に話していたことも分かった。一方、検察官は、鑑定に携わった医師の1人が「死刑にすべきではない」と話していたことを明らかにした。
 弁護側から依頼を受けた犯罪心理学の専門家が出廷した。久保木被告と計16時間にわたり面会し、心理的に分析した。被告が母子の結び付きの強い家庭で育ったことや、消毒液を混入して初めて患者を殺害したときの心境が明らかにされた。
 論告求刑があり、検察側は「被害者に落ち度はなく動機は身勝手で酌量の余地はない」として、死刑を求刑した。弁護側は最終弁論で無期懲役を主張。久保木被告は最終陳述で「死んで償いたい」と述べた。
 死刑求刑されている久保木愛弓被告に対し、横浜地裁は無期懲役の判決を言い渡した。刑事責任能力を認めつつ、死刑を回避した理由は。

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