<視点>次期衆院選 女性議員の大幅増が不可欠 政治部・柚木まり

2021年10月8日 12時00分

自民党総裁選を戦った(左から)河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の4氏

 先の自民党総裁選は初めて高市早苗氏と野田聖子氏の複数の女性が挑み、女性、ジェンダーなどで活発な論戦が展開されることを期待したが、外交や防衛などと比べ、耳にする機会は少なかった。党所属議員の多くは男性という永田町で「ガラスの天井」を打ち破る難しさも痛感させられた。女性の声を政治に適切に反映させるには、衆院で10%程度にとどまる女性の割合を次期衆院選で大幅に増やすことが不可欠だ。
 「私たち女性は政治の中では極めてマイノリティーだが、有権者は男女半々。数の上でも同じになることで、政治のバランスが生まれてくると信じている」。岸田文雄首相の下でこども政策担当相として入閣した野田氏は総裁選で、日本で女性議員が少ない問題点を訴えた。
 女性が望む政策を掲げる候補が必ずしも女性とは限らないから、LGBTQなど性的少数者への理解が浸透し、ジェンダー平等の重要性が議論される今、男女の議員数だけを論じることは問題を単純化しすぎかもしれない。それでも、女性の国会議員を増やす必要があると思うのは、野田氏の言葉を借りれば「政治のバランス」が悪すぎる弊害が出ているからだ。
 新型コロナウイルス感染症を巡っては、政府による昨年の突然の一斉休校で、子育てなどを理由に離職せざるを得なかった人の多くは女性だった。だが、政府の補助金などは企業や団体に偏りがちで、生活苦に陥った女性らの支援策は十分とは言い難く、政治の場に女性の切実な声がうまく届いていない。コロナ禍では立場の弱い女性がより厳しい環境に置かれていることも浮き彫りになったが、男性社会の永田町で、自分事として認識されているだろうか。
 総裁選で男女同数の四候補で論戦した意味があったと感じたのは、夫婦がそれぞれ望む姓を名乗れる選択的夫婦別姓の議論。野田氏は賛成、高市氏は反対の立場など、女性が参加したことで議論が活発化し、党内の異なる意見が見える形で表れ、候補を選ぶ材料になると感じた。
 世界経済フォーラム(WEF)が3月に公表した政治分野のジェンダーギャップ指数では、女性議員が少ない日本は156カ国中147位と低迷している。各党が女性候補を増やすと訴えてはいるが、現職に男性が多いため、女性が大幅に増えるような状況になっていない。
 三重大の岩本美砂子教授(政治学)は「女性が生きにくい世の中で、政治家の多くが男性という現状を変えることが大事だ。生きづらさを理解してくれる候補を発掘していく必要がある」と指摘する。
 男性より平均寿命が長く、有権者の「多数派」であるはずの女性が、政治の「少数派」から脱却する足掛かりを次期衆院選でつかめるのかどうか。各党の公約や候補者をしっかり見極めたい。

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