地下神殿 フル稼働 春日部の首都圏外郭放水路

2019年11月5日 02時00分

中小河川から水が入り込んだ調圧水槽=春日部市の首都圏外郭放水路で(国土交通省江戸川河川事務所提供)

 台風19号による豪雨の際は、「地下神殿」とも呼ばれる春日部市の治水施設「首都圏外郭放水路」がフル稼働した。近くの中小河川で増えた水を川幅が広い江戸川に流すのが役割で、十月十二~十五日に東京ドーム九杯分に当たる約千百五十万立方メートルを排出した。
 同放水路は地下五十メートルにあり、世界最大級の全長六・三キロメートル。中川、倉松川、大落古利根川、18号水路、幸松川の五河川で水位が上がると立て坑から水を取り込み、高さ十八メートルの柱が並ぶ調圧水槽にいったんため、ポンプで江戸川に排水する仕組みだ。
 国土交通省江戸川河川事務所によると、十月十二日午前十一時半に18号水路から水が入り始め、午後六時までに残りの四河川からも流入。その約一時間後、江戸川への排水を開始した。排水は十五日午後三時すぎ、流入は十六日午前一時すぎまで続いた。
 事務所の担当者は「通常は排水した後から上がってくる江戸川の水位が今回は同時に上昇したため、かなり緊迫した対応を迫られた」と振り返る。流域の県東部では大規模な浸水や河川の氾濫はなく、放水路の働きによる水位の低減効果があったとしている。
 今回の流入量は、施設が完成した二〇〇六年以降、茨城県で鬼怒川が氾濫した一五年の関東・東北豪雨(約千九百万立方メートル)などに次ぐ過去三番目の多さだった。 (近藤統義)

関連キーワード


おすすめ情報

埼玉の新着

記事一覧