川崎市の2019年台風19号水害対応の違法性訴え 損賠訴訟口頭弁論 市側は棄却求める

2021年10月8日 07時15分

横浜地裁川崎支部に向かう原告団ら=川崎区で

 二〇一九年十月の台風19号で浸水被害に遭った川崎市中原、高津両区の住民ら七十二人が、治水対策に落ち度があったとして市に約二億七千万円の損害賠償を求める訴訟の第一回口頭弁論が七日、横浜地裁川崎支部であった。(竹谷直子)
 訴状によると、増水した多摩川の泥水が下水道管を逆流して住宅地で浸水被害が拡大したのは、市が逆流を認識しながらも排水樋管(ひかん)ゲートの操作をしなかったためだと主張。川崎市の対応は違法性が重大としている。
 市側は答弁書で「被告代表者として川崎市長と市上下水道管理者、両者を代表者とする訴状は不適法」などとして訴えの棄却を求めた。
 次回の公判には訴えの内容に対する反論書面を準備するとした。
 原告二人が意見陳述し、原告団長で地下一階地上三階建ての住宅が床上浸水した川崎晶子さん(47)=中原区=は「川崎市の判断の過ちが、たくさんの市民を傷つけたことに対して心からの謝罪を求めます」。新築の二階建て住宅が被害に遭った川田操さん(53)=同区=は「迫り来る浸水の恐怖、生活環境の復旧のための労苦、誇りにしていた仕事の休業といった精神的苦痛とともに家財なども失った」と訴えた。
 原告側は七日付で、中原区の住民六人と一事業者が計約千三百七十五万円の損害賠償を求めて追加提訴したと明らかにした。

◆原告報告集会 怒りの声「被害の映像被告側は顔背けた」

 七日の第一回口頭弁論の直後、横浜地裁川崎支部近くの川崎市教育文化会館(川崎区)で原告らの報告集会が開かれた。支援者ら約三十人が参加。棄却を求める市に対して怒りの声が上がった。
 「長男を妊娠中に編んだ手編みの毛布が、泥だらけでぐちゃぐちゃになっていた」−と、法廷で涙ながらに意見陳述した原告団長の川崎晶子さん。「被害の状況を映像や画像で示したが、被告側はずっと目をつむって顔を背けていた。それが川崎市の態度なんだなと思った」と集会で報告した。
 川岸卓哉弁護士は「市長は『自分に責任はない、現場のせいだ』という姿勢だったが、今回の公判で市長が代表者として反論すると認めた」と説明。西村隆雄弁護士は「市が作った検証報告書で訴状を構成している。それをどう否定するというのか」と話し「ゲートを閉めなかった公務員の過失、それが最大の争点」と強調した。浸水被害から二年を迎えるのを前に同日夕、中原区内で多摩川浸水被害のフォーラムも開かれた。(竹谷直子)

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