<共にその先へ>ふじみ野の上原さん 14日から都内で写真展 地域で生きる 障害者たちの日常を収め 社会の理解や意識変えたい

2021年10月8日 08時42分

重度障害者の自立生活を記録した上原さん=さいたま市で

 どんなに重い障害があっても、地域で暮らす。そんな意志を貫き、自分らしく生きる障害者たちの姿を切り取った写真展を、ふじみ野市の写真家上原治雄さん(72)が14日から東京都内で開く。「地域社会の共生を深めるきっかけになれば」と思いを込める。(近藤統義)
 電車を乗り継ぎ、小旅行へ。友人たちとは居酒屋に行き、スーパーでは好きな総菜を買う。上原さんが数年前から撮りためてきたモノクロ写真には、重度障害者が介助者に支えられながら自由を楽しむ日々が刻まれている。
 被写体には三人を選んだ。川口市内での一人暮らしが十五年を超える小松日吉さんは、難病の脊髄性筋萎縮症で体がほとんど動かないが、外出が大好きだ。同じ病気の見形(みかた)信子さんと脳性まひがある鍛冶谷大貴さんも、さいたま市内でそれぞれ自立生活を送る。
 風景写真などを主に手掛ける上原さんが、障害者に目を向けた原点は三十五年前。ワープロで仕事に励み、車いすマラソンに挑戦する下肢障害の人たちを撮る機会があった。「生き生きした表情がずっと忘れられなかった」

介助者のサポートで上着を着る見形さん

 還暦を迎えたころ、知り合いの身体障害の男性から「自立生活センター」の存在を教えられた。障害者の社会参加を後押しするため介助サービスなどの支援を提供し、全国に広がる民間の組織だ。
 上原さんは早速、さいたま市にあったセンターの協力を得て、その職員や利用者だった三人の撮影を開始。食事や着替えなど自宅での日常にレンズを向け、外出先にも同行した。
 その道中、障害を理由に飲食店への入店を断られたことも。社会の理解や受け入れ態勢は、まだまだ不十分だと実感した。それでも「障害がある人が外に出て活動することが、人々の意識を変えていくはず」と上原さんは信じる。

スーパーでの買い物で総菜を選ぶ小松さん。口にくわえた竹ぐしで機械のスイッチを押し、介助者に意思を伝える

 写真展のタイトルは「在宅のまま最期まで生きる」。
 講演活動もする小松さんがいつも訴えるメッセージを引用した。小松さんも「障害者の生活を知ってもらうためのお手伝いになれば」と期待を寄せる。
 新宿区西新宿のオリンパスギャラリー東京で約八十点を展示し、二十五日まで(火、水曜休み)。入場無料。

入浴の準備のため介助者に抱えられる鍛冶谷さん=いずれも上原さん提供


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