岸田首相、所信表明で「成長と分配の好循環」強調 立民・枝野代表は「まず分配」

2021年10月8日 21時15分

 参院本会議で所信表明演説をする岸田首相

 岸田文雄首相は8日、就任後初の所信表明演説を衆参両院の本会議で行った。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける経済の再生に向けて「成長と分配の好循環」を図り、中間層を守る「新しい資本主義」の実現を訴えた。一方、次期衆院選で政権を争う野党第一党の立憲民主党の枝野幸男代表は「分配なくして成長なし」と主張。訴えは似通っているように見えるが、企業の成長を後押しして好循環につなげるか、まずは国民への分配を最優先とするかで大きな違いがある。
 首相は演説で、過去の政権の新自由主義的な政策を「富めるものと富まざるものとの深刻な分断を生んだ」と指摘。「成長の果実をしっかりと分配することで初めて次の成長が実現する」と格差是正を図る考えを示した。賃上げを行う企業への税制支援で成長を目指し、看護、介護、保育に携わる人の収入増も打ち出した。
 首相が「成長戦略と分配戦略」を「車の両輪」として位置付けるのに対し、枝野氏は首相の演説後、記者団に「成長と分配の好循環では経済は何も変わらない。長年、成長していないから果実を分配できていない」と強調。「分配なくして成長なし」を掲げ、国民に生活支援を行って消費拡大を図り、経済成長につなげる政策に転換する考えだ。
 立民は年収が1000万円程度を下回る個人の所得税実質免除や、消費税率の時限的な5%への引き下げを公約に盛り込む。富裕層や大企業への増税を財源とし、最低賃金を時給1500円以上にすることも訴える。
 安全保障政策では、首相は被爆地の広島選出で「核兵器のない世界」を目指す決意を示したが、多くの被爆者が批准を求める核兵器禁止条約への言及はなかった。枝野氏は条約締約国会合へのオブザーバー参加を目指して、唯一の戦争被爆国として核廃絶に取り組む姿勢を示す。
 沖縄県民の多くが反対し続けている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に関しても、首相は「工事を進める」と推進する構えを崩さないが、枝野氏は「中止」を明言し、対立軸になっている。

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