ノーベル平和賞、フィリピンとロシアのジャーナリスト2氏に 「民主主義と報道の自由が逆境」

2021年10月8日 21時20分
8日、ノーベル平和賞の受賞が決まり、マニラの自宅で笑顔を見せるジャーナリスト、マリア・レッサ氏=ラップラー提供、AP

8日、ノーベル平和賞の受賞が決まり、マニラの自宅で笑顔を見せるジャーナリスト、マリア・レッサ氏=ラップラー提供、AP

  • 8日、ノーベル平和賞の受賞が決まり、マニラの自宅で笑顔を見せるジャーナリスト、マリア・レッサ氏=ラップラー提供、AP
  • ノーベル平和賞受賞が決まったロシアのジャーナリスト、ドミトリー・ムラトフ氏=AP
 【ロンドン=藤沢有哉】ノルウェーのノーベル賞委員会は8日、今年のノーベル平和賞を、フィリピンのニュースサイト最高経営責任者(CEO)マリア・レッサ氏(58)と、ロシアの独立系新聞編集長ドミトリー・ムラトフ氏(59)に授与すると発表した。強権的な政府側と対峙し、権力の乱用や汚職などを報じ続ける姿勢を評価。報道や表現の自由が民主主義と国際平和の構築に不可欠と訴えた形だ。
 委員会は授賞理由を「民主主義と報道の自由がますます逆境に直面する世界で、2人は理想のために立ち上がったジャーナリストの代表者だ」と説明した。
 レッサ氏は米CNNテレビのマニラ、ジャカルタ両支局長などを経て2012年、ニュースサイト「ラップラー」を設立。報道機関への圧力を強めるドゥテルテ大統領も批判し、容疑者殺害も辞さない麻薬対策の捜査手法を疑問視。たびたび拘束され、昨年6月にはネット上の名誉毀損の罪で有罪判決を受けている。

◆世界で報道自由が抑圧、記者殺害も

 ムラトフ氏は1993年、ロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」創設に関わり、95年に編集長に就任。同紙は権威主義を強めるプーチン大統領に批判的な調査報道などを展開し、これまでに6人の記者が命を落としている。
 報道の自由を巡っては30年前、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が決議の中で「自由で多元的、独立した報道は民主社会の不可欠な要素」と明記。15年前の国連安保理決議でも、紛争地でジャーナリストに対する故意の攻撃を中止するよう要請されている。
 ただ、報道の自由を抑圧する事例は相次いでおり、6月には、言論弾圧を強める中国政府に批判的な香港の日刊紙が廃刊。5月にもベラルーシ当局が旅客機を強制着陸させ反政権派の記者を拘束した。国境なき記者団(本部パリ)によると、今年は既に計24人のジャーナリストが殺害されたり、戦火に巻き込まれるなどで死亡している。
 賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億2700万円)。授賞式は例年12月10日にノルウェー・オスロで開かれるが、今年は新型コロナウイルスの感染状況を考慮して今月中旬に式典の形式を発表する。

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