衆院選 茨城5区 野党共闘 急ピッチで進む中… 共産新人、国民現職と競合

2021年10月9日 07時31分

JR日立駅前には、日立製作所が試作した原発用の大型蒸気タービンの一部が展示されている=日立市で

 次期衆院選に向けた野党共闘が県内でも急ピッチで進む中、茨城5区(日立市、高萩市、北茨城市、東海村)では、国民民主党と共産党が候補者の一本化どころか、逆に溝を深めている。国民現職の出身労働組合に根強い「反共」感情に加え、選挙区内に立地する日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働問題も両者の距離を遠ざけている。(長崎高大、保坂千裕)
 5区は当初、共産が候補者を立てず、自民党現職の石川昭政氏と国民現職の浅野哲(さとし)氏の一騎打ちになるとみられていた。だが国民の玉木雄一郎代表が七月、共産を「全体主義」と評する発言をしたことに共産が反発。この直後、共産は5区に新人飯田美弥子氏を擁立すると発表した。
 記者会見した県委員会幹部は「玉木代表は共産を排除すると述べている。独自の判断をせざるを得ない」と指摘し、玉木氏の発言への対抗措置であることをにおわせた。
 玉木氏は八月中旬、発言を撤回したが、共産はその後も飯田氏の擁立を取り下げていない。八月末に来県した小池晃書記局長は、報道陣に「玉木発言があったからではなく、もともと立てようと議論していた」と語った。
 5区は、日立製作所を中核とする日立グループ労組の金城湯池。日立労組出身で経済産業相や国土交通相、民主党幹事長を歴任した大畠章宏氏が長年、議席を守ってきた選挙区だ。
 二〇一七年の前回衆院選では、同じ日立労組出身の浅野氏が地盤を継承。自民の石川氏に約五千票の僅差で敗れたが、重複立候補した比例北関東ブロックで復活当選した。党勢が低迷する国民にとっては、次期衆院選で議席の積み上げを狙える数少ない選挙区でもある。
 浅野氏の陣営は、保守地盤が強い北茨城市と高萩市では石川氏が優勢と想定し、5区全域にまたがる「日立票」を確実に固めるとともに、大票田の日立市で無党派層を取り込むことが勝機につながるとにらむ。
 野党共闘が成立していないことについて、陣営関係者は「5区の土地柄は非自民、反共産」と意に介さない。別の関係者は「共産と組めばマイナスもある」と話し、かえって無党派層の票が逃げるとの見方を示す。
 浅野氏を全面的に支える連合茨城も、共産との共闘には否定的だ。歴史的に共産党と対立してきた連合の中でも、日立グループ労組が加盟する産業別労組「電機連合」などの民間組合は特に反共の色合いが濃い。日立労組出身の内山裕会長も「たとえ共産が候補者を降ろしても一緒に選挙をするわけにはいかない。このままの方が論点が明確でいい」と断言する。
 東海第二原発の再稼働など原発を巡る温度差も、国民と共産の歩み寄りを妨げている。
 即時の「原発ゼロ」を主張する共産に対し、国民のスタンスは「できるだけ早期に原子力に依存しない社会を実現する」。原子炉製造などの原発関連産業を抱える日立グループ労組の影響力が大きい連合茨城にも、性急な脱原発には慎重な意見が強い。
 共産の大名美恵子東海村議は「村は日立(製作所)と共にやってきたようなもの。浅野氏では私たちの願いを実現することは難しい。東海第二に明確にノーを言える候補者はいなくてはならない」と訴える。
 共産県委員会幹部は「自民政権を倒すという目的がある以上、できるだけ候補者の一本化はしたい」としつつも、「5区では難しいと思う」と声をひそめた。
 共産は次期衆院選で、茨城4区と6区にも候補者を擁立。立民現職が立候補する6区については、擁立を取り下げる方向で党本部間の調整が進んでいる。
衆院選2021
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