働きたいシニアと最適な職場をマッチング その名も「ジーバー」 AIの力で高齢者就労の難問解決へ

2021年10月10日 06時00分
 ITを活用し、シニアの就業希望者と求人を結ぶマッチングサイト「GBER(ジーバー)」を導入した東京都世田谷区で、就業者第1号が誕生した。新型コロナウイルス禍の「世田谷の挑戦」が成功しジーバーが全国に広がれば、シニアの就労は飛躍的に増え、労働力の確保や社会保障制度の維持といった「難問」の解決につながる可能性が出てくる。(久原穏)

都内の工事現場で事務処理をする菅沼早吉子さん

◆世田谷で第1号、病気療養後の再就職を後押し

 東京都世田谷区の区立太子堂中学校。耐震化工事が進む校舎の一角で、菅沼早吉子さきこさん(59)はパソコンに向かう。区内の工務店の求人に応じて週3回、パートとしてこの工事に関連する書類づくりを担う。
 30年間勤めたIT企業を病気で退職し、5年余り療養。そんな菅沼さんの再就職を後押ししたのがジーバーだった。
 「専門的知識や経験は豊富だが、能力の個人差が大きい。フルタイムより短時間、通勤も近距離を志向する」。ジーバーを開発した東京大先端科学技術研究センターの檜山敦特任准教授(43)は、シニア求職者の傾向を指摘する。

◆希望やスキル…きめ細かい情報を基に

 シニアの就業を拡大させるには希望やスキルなど求職者ごとのきめ細かい情報を、多く集められるかがカギで、それらのデータを基に人工知能(AI)が最適な求人を選び出すのがジーバーだ。
 ジーバーが画期的なのは、高齢者自身にスマホなどで必要な情報を入力してもらう点。そのためにITが苦手な高齢者も使いやすくする工夫を凝らした。自己紹介欄に特技や資格など、何でも自由に記入してもらい、いつでも加筆、修正ができるようにした。

◆少ない求人登録も「認知度上げたい」

 ジーバーで仕事をみつけた菅沼さんは「休職明けなので短時間勤務でパソコンスキルを生かせる仕事を希望した。想像以上に簡単に見つかった」と振り返る。
 ただ課題もある。ジーバーはコロナ禍の今春から始まったため、まだ事業所の求人登録が少なく、提供できる仕事は限られる。求職者の自粛傾向も続いている。世田谷区経済産業部の荒井久則氏は「来年の本格稼働までに認知度を上げたい。地域の発展に役立つ仕事をいかに提供できるかが大事」と話した。

 GBER(ジーバー) シニアと地域の求人を結び付けるマッチングサイト。すでに千葉県柏市や熊本県が導入。柏市は農作業の担い手などを募集し熊本県はシルバー人材センターなどと連携する。東京都世田谷区は初めて企業への就業に絞って導入した。名の由来はタクシーを探す人と車を結び付ける米国の配車サービス、ウーバー(UBER)にちなむ。GBERは「Gathering Brisk Elderly in the Region=地域の元気なシニアを集める」の頭文字。


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