久保木被告、最初の患者殺害「ほっとした気持ちが大きかった」 3人点滴中毒死

2021年10月11日 12時35分
久保木愛弓被告

久保木愛弓被告

 横浜市の旧大口病院(現横浜はじめ病院・休診中)で2016年に起きた点滴連続中毒死事件で、入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われた元看護師久保木愛弓被告(34)の裁判員裁判の第5回公判が11日、横浜地裁(家令和典裁判長)で開かれ、被告は、消毒液を混入した点滴で、患者が死亡したときの心境を「そのときは、ほっとした気持ちの方が大きかった」と語った。
 被告は担当する入院患者の興津朝江さん=当時(78)=の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入したことを認めた。興津さんが梅干しを買おうと無断で外出しようとしたため、行方不明になったり、けがをしたら家族に責められると思い、「私の次の勤務までに、なんとか退院してほしくて、ついヂアミトールを入れた」と述べた。
 興津さんに投与予定の点滴に、注射器を使い消毒液を混入した。次の勤務のときに亡くなったことを知らされたが、「本当に申し訳ないのですが、そのときはほっとした気持ちの方が大きかった」と振り返った。自分のしたことについて、後悔はなかったという。
 久保木被告の証言によると、看護学校での実習に苦手意識があり、「看護師に向いていない」と感じていたが、奨学金返済などのために横浜市内の別の病院で勤務。容体が急変した患者に点滴を入れる針をうまくさせなかったことがあり、家族から「はやくしてよ。死んじゃうじゃないの」と責められた。技術の向上に努めたが、不安は消えなかった。
 2014年4月に抑鬱状態と診断され、3カ月間、休職。復帰後に病院の系列の診療所で働いた際には、夜間や休日に患者から電話で相談される業務に不安を抱き、退職した。
 ただ、「私の学歴や能力では一般の企業にとってもらえない」と思い、2015年5月に旧大口病院に就職。延命治療を希望しない終末期の患者が多い、と聞いていて選んだが、病院で亡くなる患者が多いことは精神的な負担だった。「気持ちに折り合いがつけられなかった。仕事だから、亡くなるはずだったから、と割り切ることができなかった」と証言した。退職したい気持ちもあったという。

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