自民と立民の対立軸、鮮明に 岸田首相と枝野代表、コロナ対応や「政治とカネ」巡り最初で最後の直接対決

2021年10月12日 06時00分
 岸田文雄首相(自民党総裁)と立憲民主党の枝野幸男代表は11日の各党代表質問で、衆院選前の国会論戦として最初で最後になる直接対決に臨んだ。首相が独自の政策をちりばめながら「安倍・菅政治」を踏襲する「安全運転」に徹したのに対し、枝野氏は新型コロナウイルス対応などで追及姿勢を強めた。1時間弱のやりとりだったが、政治の私物化疑惑など鮮明になった対立軸もある。(井上峻輔)

 ◆総括

 枝野氏は質問の冒頭「最優先課題はコロナ対策。どこに反省すべき点があると考えるか」と切り出した。
 立民が昨年から提案してきた水際対策の徹底、PCR検査の抜本的拡充、飲食店などへの休業・時間短縮営業要請に伴う補償の3点について「自民党政権は無視して感染拡大が繰り返されてきた」と指摘。首相が第2次安倍・菅政権の対応をどう総括し、何を見直すのかをただした。
 首相は菅義偉前首相が退陣直前に触れた「コロナ病床が十分に稼働しなかった」ことを反省点に挙げただけで「近日中に取り組みの強化の全体像を示す。同時にこれまでの対応のボトルネック(問題箇所)を検証する」と詳しく説明しなかった。コロナ下の安倍政権で自民党政調会長を務めた自身の責任も問われたが「政府は必要な措置を講じてきた」と話すにとどめた。先の総裁選で訴えた司令塔組織の新設、人出抑制・医療資源確保のための法改正などの具体策にも言及しなかった。

 ◆肥大

 首相が過去の評価を避けるのは、党内基盤が弱く、影響力を保持する安倍晋三元首相らに配慮せざるを得ないからだ。安倍・菅政治で指摘された行政私物化疑惑など「負の遺産」で、より姿勢は鮮明になった。
 枝野氏は、立民中心の政権が誕生すれば、政府内に森友・加計学園や「桜を見る会」の問題の真相解明チームを立ち上げると説明。日本学術会議の新会員候補6人も任命すると語り「『生まれ変わった自民党』と言うなら、これらに取り組むべきでは」と迫った。
 首相は「森友問題は結論が出ている」などと従来の政府見解をなぞる答弁に終始。質問後、枝野氏は記者団に「逃げる、説明しないという安倍・菅政権の一番悪いところを、さらに肥大化させて引き継いでいる」と批判した。

 ◆違い

 枝野氏が追及を強めたのは、衆院選直前という事情だけではない。競争重視の新自由主義からの転換や中間層への手厚い支援など、首相の政策が立民の公約と重なり、安倍・菅政権に比べて差別化しにくくなっているからだ。
 枝野氏はアベノミクスに関し「株価こそ上げたが、個人消費は冷え込んだまま」と効果を否定。「(経済)成長の出発点は適正な分配にある」と訴え「まずは成長を目指す。それが民主党政権の失敗から学んだことだ」と主張する首相との違いを打ち出した。
 原発のない社会の実現や核兵器禁止条約へのオブザーバー参加、選択的夫婦別姓の導入など、対立軸を示せる政策テーマを質問に織り交ぜた枝野氏。「この9年間を成長と認識する首相と、成長できなかったことを前提に変えようとするわれわれの違いが明確になった」と記者団に強調した。

関連キーワード

PR情報

政治の新着

記事一覧