【詳報・第6回】弁護人「異議あり」 消毒液混入いつから?久保木被告「お話したくありません」 3人点滴中毒死

2021年10月12日 19時43分
 横浜市の旧大口病院(現横浜はじめ病院・休診中)で2016年に起きた点滴連続中毒死事件で、入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われた元看護師久保木愛弓被告(34)の裁判員裁判の第6回公判が12日午前10時から、横浜地裁(家令和典裁判長)で開かれる。検察側の被告人質問で、久保木被告は何を語るのか-。

旧大口病院の点滴連続中毒死事件 起訴状によると、久保木被告は2016年9月15~19日ごろ、いずれも入院患者の興津朝江さん=当時(78)=と西川惣蔵さん=同(88)、八巻信雄さん=同(88)=の点滴に消毒液を混入して同16~20日ごろに殺害し、さらに殺害目的で同18~19日ごろ、点滴袋5個に消毒液を入れたとされる。

久保木愛弓被告

「遺族には許してもらえない」


  久保木被告がグレーのスーツ姿に眼鏡をかけて入廷し、弁護側の左の椅子に座った。
 午前10時すぎに開廷。久保木被告は、家令裁判長に促されて証言台に向かい、小さくお辞儀した後、証言台の席に座った。裁判長から「マイクに向かって話を」「答える時は前を向いて」と言われると「はい」と話した。
 男性検察官が質問を始めた。
検察官 (昨日の)遺族に謝罪した。謝罪しようと前から考えていた?
被告   はい
検察官  いつごろから
被告  うーん‥。事件が発覚し、自分がどれだけひどいことをしているかと思ってからいつかご遺族にはお詫びしたいと思っていた
検察官  言ってみてどんな気持ち?
被告  (沈黙の後)気持ち伝えられて良かったと思うが、ご遺族には決して許してもらえないとも思います

寮の壁ける「穴が空いてしまった」

 続いて、取り調べや、今も法廷で正直に話してるかと尋ねられた被告は「はい」と答えた。
 質問が被告の性格に移った。久保木被告は看護師になってからは相談できる人がおらず、悩みがあった時に「自分の中にため込むことが多く、発散することができていなかったと思う」と話し、自分の性格を「内向的だ」と分析した。
 また幼い頃から物に当たることはあったと説明した。小学生の頃にピアノがうまく弾けなくて「いらいらしてけった」りしたことがあったほか、看護師になってからも寮の壁を蹴り、「穴が空いてしまった」と説明した。ただ「根本的に(ストレス解消に)なってなかったと思う」とも明かした。
 久保木被告が看護師になろうとしたのは、高校生の時だった。
検察官 きっかけの1つは、老人ホームの体験学習ですか?どういう経験だった
被告 (入所の高齢者に)ありがとうと言っていただいたのがすごくうれしくて、こういう職業につきたいと思った
検察官 高齢者に接しているときと若い人に接しているときの違いは?
被告 長く生きている人生の先輩。尊敬の念を持って接しようと思っていた。

「同じくらいつらい」

 その後、久保木被告は看護学校に進んだ。実習が苦手だったといい「教科書に書いてあることは理解できたが、患者さんに合わせた(対応が)苦手でした」と語った。ただ看護学校に入るのに奨学金を受けていて返済が必要だったため、看護師になったという。
 最初に就職した横浜市の病院では、リハビリ病棟、障害者病棟、老人保険施設、診療所の順で働いた。最初のリハビリ病棟での勤務の際に、既に奨学金の返済は終わったものの、「リハビリで勤務し、やりがいを感じた。続けたいと思った」と仕事を続けた。
 ただ、障害者病棟に移ると、急変する患者が多く「つらいという気持ちになった」。老人保健施設でも患者が亡くなるのがつらかったという。
検察官 亡くなる体験と急変でうまく対応できないのとどちらがつらいか?
被告 同じくらいだと思う
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