安倍政権に反省促す所感、なぜ出した…政界引退する大島衆院議長が語る民主主義の根幹

2021年10月12日 19時00分
<引退議員に聞く㊤>

インタビューに答える大島理森衆院議長=東京・永田町の衆院議長公邸で

 8年9カ月続いた「安倍・菅政権」。国会の議論の前提となる資料の隠蔽や改ざんが相次ぎ、異論に耳を傾けない姿勢も相まって、少数意見を尊重しながら熟議する民主主義の根幹が揺らいだ。憲法で国権の最高機関と定められた国会の責任者は、議会や政治のありようをどう見ていたのか。次の衆院選に立候補せず、政界を引退する衆院の大島理森議長(75)に聞いた。
ー議員生活を振り返って印象に残る出来事は。
 「(1990年の)第2次海部内閣で官房副長官を務め、イラクのクウェート侵攻や(貿易不均衡の是正を目指した)日米構造協議などの課題の中で政治のダイナミズム、権力の怖さと維持する難しさを経験したことだ。(2009年からの)野党時代に自民党の幹事長や副総裁として政権奪還に努力したことや、上皇さまの退位を巡り、衆参両院の正副議長で国会としての見解を取りまとめる作業をしたことも思い出深い」
ー議長の在職は6年半。心掛けていたことは。
 「国会は国権の最高機関で、内閣の選任や立法・予算の成立、行政監視機能を担っている。一方で政権を目指す権力闘争の場でもある。できるだけ公正、公平な舞台をつくるのが議長の役割だと自問自答しながらやってきた」
ー森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんなどを受け、18年に安倍政権に反省と改善を促す異例の議長所感を出した。
 「憲法には『内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う』とある。捏造ねつぞう的、虚偽的な情報が報告されれば立法府の判断を誤らせる恐れがある。今後もそれがまかり通れば日本の民主主義の根幹を揺るがす問題だと感じた」
ー森友・加計問題や「桜を見る会」で野党が求める安倍晋三元首相らの国会招致に与党は消極的だった。改善すべき点はないか。
 「国会には権力闘争の側面もあり、これを無視して議論するのは難しい。与野党の激しいやりとりを国民が鋭く見抜き、選挙で判断するのが民主主義だ。与党も国会の活性化のため、行政監視の重要性は忘れないでほしい」
ー海外では独裁色の強いリーダーが増え、民主主義の危機が叫ばれている。
 「コロナ禍で世論の一部に強いリーダーシップを求める意見もある。だが、歴史を見れば権威主義の政治、独裁政治が生まれてくるわけで、警戒しないといけない。民主主義は多様な意見を発露させ、議論し、合意点をつくるもの。手間暇はかかるが、国の運営には最も良いと確信している」
ー次期衆院選に向けて有権者に訴えたいことは。
 「一番心配しているのは投票率の低さ。投票は民主主義を支える基本的な行為だ。政治は自分たちのものだという認識を持って、主体的に1票を投じてほしい」(聞き手・川田篤志)

おおしま・ただもり 1946年、青森県八戸市生まれ。毎日新聞社員、青森県議を経て、1983年衆院選に自民党から立候補して初当選。12期目。青森2区。文相や農相、自民党幹事長などを歴任。2015年4月から衆院議長を務め、通算在職日数は歴代最長の2335日(13日時点)。

 ◇  ◇
「引退議員に聞く㊦」は衆院の赤松広隆副議長(73)です。

PR情報

政治の新着

記事一覧