筋肉の維持・増加 高齢者調査 朝食でタンパク質 効果的

2021年10月13日 08時51分

タンパク質摂取の研究で体組成や生活状況の評価を受けるデイサービスの利用者たち=2018年9月、北海道江別市で

 筋肉量の維持や増加に必要な栄養素「タンパク質」。食事から摂取するタイミングは夕食よりも朝食の方が効果的であると、早稲田大の研究グループが明らかにした。全身の筋肉量が減る「サルコペニア」は高齢者が要介護となる原因の一つ。朝食で上手にタンパク質を取れば健康を効率よく維持、増進でき、介護予防にもつながりそうだ。 (五十住和樹)

◆体内時計が調節役

 「活動を行う前の食事が大切。運動だけでは本質的な自立支援につながらない」。全国でリハビリデイサービスなどの介護事業を展開する会社「3eee(スリー)」(札幌市)の部長、鳴海誠さん(40)は、希望した利用者の自宅に高タンパクの朝食を届けられないか検討している。

(左)柴田重信さん、(右)金鉉基さん

 きっかけは、二〇一八年九月から一九年にかけ、早大理工学術院の柴田重信教授(68)や金鉉基(キムヒョンギ)講師(39)らの研究に協力したことだ。札幌市と北海道江別市にある同社の三つのデイサービス事業所を利用する七十〜八十代で、要支援1と2の男女三十七人が参加。魚肉ソーセージなどに使われるスケトウダラの速筋タンパク質か、乳タンパクの粉末を三カ月、朝食時にお湯に溶かして飲み、骨格筋量や握力などの変化を調べた。
 すると、太ももの筋力が一定以上ある女性のデータによれば、スケトウダラの速筋タンパク質を取った人の方が、筋肉量などで有意な増加が見られたという。
 また、柴田さんらは一八年春、首都圏に住む六十五〜八十歳の健康な女性六十人に食事内容などを聞き取り、一日のタンパク質摂取量を計測。朝食の方が摂取量が多い二十人と夕食の方が多い四十人のグループに分け、骨格筋量と握力を調べたところ、平均の骨格筋指数(四肢の筋肉量の合計を身長の二乗で割った値)は一平方メートル当たり約一キロ、握力も約四キロ、朝に摂取した人の方が上回った。
 そのメカニズムとして、研究グループは睡眠や体温、栄養素の消化吸収などを調節している体内時計に着目。体内時計は脳内の視床下部のほか、肝臓や肺といった臓器にも存在するとされるが、筋肉の時計遺伝子を欠損させたマウスを使い、タンパク質を朝食で摂取した場合と、夕食で取った場合の筋肉の増加率を比較した。その結果、双方に大きな差は見られなかったことから、タンパク質摂取のタイミングによる筋肉量の増加効果には、筋肉の体内時計が関わっていることが分かったという。
 柴田さんは「体内時計に合わせて、朝食でタンパク質を取るのが筋肉量の増加や維持にはよい」と指摘。「前日の夕食からの絶食状態が長く続くから、その後の朝食は食べた栄養が筋肉になりやすい。筋肉の萎縮を抑えるためには、朝食の後にリハビリなどの運動をすることが効果的だろう」と説明する。

◆カルシウムは「夜」

 一方、高齢の女性は骨量が減少し骨粗しょう症になりやすく、骨折して要介護につながる危険性がある。柴田さんによると、骨を作る作用も体内時計の支配下にあり、夜に強く働く。「カルシウムイオンが豊富な牛乳は、夕方に飲むと骨量の増加が期待できる」と話す。

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