<わたしの転機>南知多の恵み届けたい 声楽家から びわ茶の会社起業

2021年10月13日 09時01分

「南知多のおいしいものを食べ続けられるように」と願う林浩子さん=愛知県南知多町で

 「この町は、魚も野菜も何もかもがおいしいんです!」。愛知県南知多町でびわ茶専門店を営む林浩子さん(59)は声を弾ませる。若い頃から音楽家として活動してきたが、町産のビワと出合い、「南知多の素晴らしさを全国へ広めたい」と奮起。4年前に起業し、捨てられていた葉を活用してびわ茶を開発した。 (長田真由美)
 愛知県半田市の出身で、子どもの頃から音楽が大好きでした。二十二歳で音楽教師になり、南知多町の日間賀小学校に赴任したのが町とのご縁の始まりです。
 二十四歳で結婚して出産。育休後に利用できる保育園が町内になかったので退職を決めた時、一歳七カ月の息子が事故で亡くなりました。地獄のような日が続き、とても授業はできなくなって仕事を辞めました。
 翌年、第二子を授かりました。知人に誘われ、子育てをしながらボランティアで未就園児にリトミックを教え始めました。自宅でピアノ教室も開講。そのうち、声を掛けられて声楽家として舞台に立つことになり、地域でコンサートを企画するようにもなりました。
 子育てが一段落すると、南知多の産物を作る人を支援したい気持ちが強くなりました。知り合った農家さんや漁師さんから、第一次産業の後継者が減っていると聞き、「どうしたらおいしいものを食べ続けることができるんだろう」と思っていたからです。
 ある時、町観光協会がビワを使った土産物の販売を始めたという新聞記事を見てびっくり。三十年も住んでいるのに、町内でビワを作っているなんて知らなかった。お茶はおいしいし、せっけんは肌がきれいになる。協会が事業をやめた後も町産ビワを広めていけるように、二〇一七年八月に株式会社「みなみちたフルーツ」を設立しました。
 自社オリジナルのびわ茶商品を目指し、自宅で自力で開発に挑戦。試作に一年かかりました。剪定(せんてい)で切り落とされたビワの葉っぱを農家からもらって洗い、乾燥させて砕く。そこから鍋で焙煎(ばいせん)しますが、低温でじっくり時間をかけると、うまみとほのかな甘みが引き出されます。
 完成した商品をイベント会場などで販売したところ、売れ行きが好調でした。もっと大きな鍋が使える空き店舗を探して、一九年八月にびわ茶専門店「びわカフェ」をオープン。今年から枝のチップ化も始めました。防草剤や入浴剤などに活用されています。捨てられていた葉や枝が人のためになる。耕作放棄地になりそうだった畑も再生されています。これからもビワを通して地域を盛り上げていきたいです。

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