無免許事故で2度の辞職勧告 それでも辞めない木下都議 3カ月雲隠れしたまま395万円の収入

2021年10月13日 20時46分

木下富美子議員の東京都議会の座席㊥。定例会最終日も本人の姿はなかった=13日

 7月の東京都議選の期間中に無免許運転で人身事故を起こし、辞職勧告決議を受けた木下富美子議員(55)=元都民ファーストの会、現在は無所属の一人会派、板橋区選挙区=が、公の場に姿を現さず3カ月が過ぎた。13日には改選後初の都議会定例会が閉会。審議に関わらないまま、議員報酬など総額約395万円が支払われた。現状で強制的に辞めさせる手段はなく、一部会派は長期欠席者の報酬減額のルール化を提案したが、慎重論も強く、結論は出ていない。(加藤健太、土門哲雄)

◆体調不良…辞職求める声は1800件

 「体調不良」。都議会局によると、木下氏は欠席理由をこう説明している。都議選後、定例会のほか、2回の臨時会が開かれているが、すべて欠席。都議会には「早く辞めさせるべきだ」などの意見が約1800件寄せられている。
 都議会は問題発覚後の7月下旬に1度目の辞職勧告決議を行い、9月28日には異例の2度目の辞職勧告を全会一致で可決。さらにその後、定例会の会期中に議長室に「出頭」するよう文書で求めてきた。

木下富美子都議への2度目の辞職勧告決議案を可決する都議会=9月

 ただ、どれも法的拘束力はなく、木下氏は自身のホームページで「これからの議員活動でご奉仕する」と辞職しない考えを表明。出頭にも応じていない。月額81万7600円の議員報酬と、月額50万円の政務活動費をそれぞれ3カ月分受け取っている。

◆「除名」「リコール」適用外、報酬半減案もまとまらず

 地方自治法では議員の身分を失わせる「除名」の懲罰を定めている。ただ議会内での問題行為が対象のため、今回は当てはまらない。有権者が議員個人の解職を求める「リコール」も、当選から1年間は行使できないと規定されている。
 また、木下氏は9月中旬、自動車運転処罰法違反容疑などで書類送検されたが、禁錮以上の刑に処せられた場合などに被選挙権を失うと定める公職選挙法の規定にも現状では該当しない。
 こうした事情を背景に都民ファは9月末、「公務に携わっていないのに報酬を満額受け取ることはあってはならない」として、長期欠席した議員の報酬を半減する条例改正案を、立憲民主党などと共同で他会派に提示。他県の事例を参考に、病気などで連続する2回の定例会と、その間の会議を全て休んだ場合に適用するとした。

議員報酬の減額を他会派に提案し、記者団の取材に応じる都民ファーストの会の都議=9月

 ただ都議会の足並みはそろわず、定例会で議論はまとまらなかった。
 第一会派の自民幹部は「報酬は全ての議員に関わる。今回の問題だけで論じるものではない」と主張。共産幹部は「選挙で選ばれた議員の資格や報酬を失わせることは慎重であるべきだ」と、有権者から得た票の重みに触れる。
 都民から厳しい目が注ぐ中、問題は行き詰まった状態がしばらく続きそうだ。

◆長期欠席で報酬減、地方では導入進む

 議会を長期欠席した場合に、議員報酬を減らすルールがある地方議会は珍しくない。富山や群馬など少なくとも8県で規定があるほか、東京23区でも港や台東、品川などの各区が条例で定めている。
 減額の幅は、福岡県のようにゼロにする例もあるが、20~50%減にするケースが多い。富山県議会事務局は「兼業せず議員一本でやっている人にとって報酬は生活給でもある」とゼロにしなかった経緯を説明する。今回、都民ファーストの会も同じ理屈で半減とすることにした。
 国会では、2019年の参院選で起きた河井克行、案里夫妻による買収事件をきっかけに、事件を起こした国会議員の歳費(議員報酬)返還を可能とする法改正に向けて議論が進んでいる。

関連キーワード

PR情報

東京の新着

記事一覧