所得再分配の財源 立民は富裕層から、自民は経済成長の「果実」 衆院選公約

2021年10月13日 21時20分


岸田文雄首相、枝野幸男代表

 立憲民主党は13日、次期衆院選の公約を発表し、自民党と与野党第一党の公約が出そろった。いずれも格差是正のための所得再分配の強化を掲げるが、立民が富裕層増税などによって実現すると主張するのに対し、自民は企業支援を通じた経済成長の「果実」を賃金に振り向ける仕組みづくりを訴えており、方法論は大きく異なる。衆院は14日に解散され、19日の公示、31日の投開票に向けた実質的な選挙戦に突入する。(我那覇圭、川田篤志)
 両党の公約で違いがあるのは、分配の原資の確保策だ。立民は第2次安倍政権以降の経済政策「アベノミクス」が富の偏在をもたらし、「日本の購買力を支えていた『中間層』が底抜けし、貧困層が増え、格差が拡大した」と指摘。富裕層や大企業に応分の負担を求めて財源を手当てしつつ、重点的に家計支援を行い、かつての「1億総中流社会」復活を目指すとうたう。
 具体的には、法人税に累進税率を導入し、各種の政策減税で大企業ほど税負担率が低いという不公平を解消。所得に占める株式譲渡益などの割合が高くなると、実質的な税負担率が下がる「1億円の壁」問題を踏まえ、金融所得の税率を現行の一律20%から「国際標準」の30%を視野に引き上げる。将来的には給与所得と合算した総合課税方式に改める方向性も示した。
 時限的に年収1000万円程度まで個人の所得税を実質的に免除し、消費税率を5%に引き下げると明記。低所得者への年12万円給付も盛り込んだ。短期的には税収減になるが、枝野幸男代表は記者会見で「緊急対策として、国債を財源にすることには正当性がある」と語った。
 立民に対し、自民党公約は岸田文雄首相(党総裁)の「成長なくして分配なし」の考え方を反映。企業の競争力を高めてもうけを増やし、その恩恵をより多く労働者に及ぼす制度を設ける内容だ。賃上げに積極的な企業への税制優遇や、株主だけでなく労働者にも配慮できる経営環境の整備などを具体策に挙げる。
 もっとも、分配の前提となる経済成長は容易でない。首相が踏襲するアベノミクスでは政権の期待に反し、富裕層が豊かになれば庶民もいずれ豊かになるという「トリクルダウン」は起こらなかった。首相は数少ない増税策だった金融所得課税の見直しも事実上撤回しており、分配強化の原資をどう調達するのかは不透明さが残る。

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