ワクチン義務化で割れるアメリカ テキサス州が禁止命令 バイデン政権は強く反発も…

2021年10月13日 21時51分
3日、米ワシントン州オリンピアで、州職員のワクチン接種義務化に抗議する人たち=AP

3日、米ワシントン州オリンピアで、州職員のワクチン接種義務化に抗議する人たち=AP

 【ワシントン=金杉貴雄】新型コロナワクチンの接種率が伸び悩む米国で、接種義務化を巡る政治対立が深まっている。南部テキサス州のアボット知事(共和党)は、州内で義務化を禁止する行政命令を発出。接種拡大に躍起になっているバイデン政権(民主党)は強く反発しており、米社会の分断による新型コロナ対策への影響は続きそうだ。
 テキサス州のアボット知事は11日、新型コロナワクチンについて「州内のいかなる団体も、従業員や客に接種を義務化してはならない」とする行政命令に署名した。ワクチンは最善の防衛策と認めつつ「接種は任意であるべきで、強制されるべきではない」と主張した。
 バイデン大統領は9月、新型コロナ対策として、連邦職員だけでなく、従業員100人超の企業に対し、全従業員にワクチン接種か毎週の感染検査の義務付けを求める大統領令を出した。アボット氏の命令はこれに反する形で、最終的に法廷闘争になる可能性もある。
 サキ大統領報道官は12日、アボット氏の命令はワクチンへの反発が強い保守層にアピールする「政治目的だ」と指摘し、「州の市民の利益ではなく、自身の政治的利益に基づく決定だ」と強く非難した。
 テキサス州に本拠地を置くアメリカン航空とサウスウエスト航空は同日、アボット氏の行政命令を精査しつつも、政権の義務化方針に従う意向を明らかにした。
 ただ、バイデン政権の義務化の方針にはほとんどの共和党知事が「個人の自由の尊重」を理由に反対している。フロリダ州のデサンティス知事(共和党)も12日、ワクチン接種を拒否した労働者が解雇されることに反対すると主張。州は同日、同州レオン郡がワクチンの接種証明を提出しなかった郡職員を解雇したのは州法違反にあたるとして、約4億円の罰金を科すことを決めた。
 米国では今年前半に新型コロナワクチンの接種が加速したが、6月ごろから急激に鈍化。9月には接種率が日本に抜かれ先進7カ国(G7)で最低に転落した。現在では他の6カ国が全人口の65%以上の接種が完了しているのに対し、米国は56%台にとどまっている。

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