ルート周辺の地中に多数のすき間 芝浦工大教授が地盤調査、調布陥没問題

2021年10月14日 06時00分


住宅の被害状況について説明する芝浦工大の稲積真哉教授=東京都調布市で

 東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事の影響でルート上にある東京都調布市の住宅街で陥没や空洞が生じた問題を巡り、芝浦工業大の稲積真哉教授(地盤工学)は13日、独自に地盤調査を行った結果、ルート周辺の地中で多数の空隙くうげき(すき間)を確認したと発表した。ルートの外側で地盤の緩みが確認されたのは初めて。
 事業者の東日本高速道路はルート直上の地盤の補修を予定している。稲積教授は「空洞や陥没に発展する可能性があるので、(外側でも)早めに地盤を補強すべきだ」と指摘している。
 調査は9月下旬、若葉町や東つつじケ丘で亀裂やすき間などが目立つ4つの住宅の敷地内で、実施した。うち3地点はルートの外。
 棒状の機器を打ち込み、地表面から地下最大約8メートルまで20センチおきに地盤強度を示すN値を計測。N値が大きいほど強固な地盤で、中小の建物の場合「20」以上あれば望ましいとされるが、4地点とも「5」以下を示す場所が多かった。
 調査地点の1つで、ルートから10メートルほど東側の若葉町の住宅では、地中のビデオ撮影ですき間が多数見つかった。
 稲積教授は「工事の振動が軟弱地盤で増幅され、土の粒子が揺さぶられ空隙に発達したのではないか」と指摘した。(花井勝規)
 東日本高速は「隣接地では緩みはないと認識している。調査して確認されれば適切に対応したい」としている。

◆調査範囲拡大が必要

 日本大学理工学部の鎌尾彰司准教授(地盤工学)の話 東日本高速が最終報告で示した煙突状の緩みが、実はすり鉢状に広がっていた可能性も捨てきれないのではないか。ルート上では家屋の損傷だけでなく、地中に埋設されている水路管やガス管でも損傷が見つかっている。振動の影響のみならず、シールド工事に大量に使った気泡剤や地下水など地盤変状に影響を及ぼすあらゆる可能性を排除せず、調査範囲を広げた原因分析が必要だ。

◆稲積教授「空洞や陥没に発達の恐れ」と警鐘

 東京外郭環状道路のトンネル工事の影響で、東京都調布市の住宅街で市道の陥没が発生して間もなく1年。芝浦工業大の稲積真哉教授が、工事ルートの真上だけでなく、周辺の地盤も緩んでいるとの調査結果を示したことで、東日本高速は調査範囲拡大や地盤補強を急務として突きつけられた。
 東日本高速はこれまで「ルートの真上以外に地盤の緩みはない」との認識を示してきた。2月に発表した最終報告では、地下47メートルで直径16メートルのシールドマシンが土砂を過剰に取り込むなどの施工ミスにより、ルートの真上に向かって煙突状に地盤を緩めたと総括していた。
 稲積教授の調査結果はこの主張と食い違う。ルート周辺に広がる地盤の緩みはシールドマシンの振動が表層の地盤を揺さぶったことが原因だと分析。トンネル工事再開や地震で再び震動が加えられれば「多数のすき間がくっついて空洞や陥没に発達する恐れがある」と警鐘を鳴らす。
 現在、トンネル工事は中止しているが、ルート上や周辺の複数の家屋では、新たに亀裂が発生したり、すき間が拡大したりしていると住民は訴えている。住民の声を受け、東日本高速はルート東側で家屋被害が相次いだ同市若葉町の地盤状況を来月にボーリング調査することを決め、11日から現地で測量調査を始めている。(花井勝規)

関連キーワード

PR情報

主要ニュースの新着

記事一覧