映画にみる米軍基地 ライター吉田さんが書籍 砂川闘争描いた作品も紹介

2021年10月14日 07時11分

著書を手に米軍基地問題を語る吉田啓さん=埼玉県内で

 小平市の高校在学中から四十年間、在日米軍基地問題が描かれた映画を研究してきたライター兼映画プロデューサーの吉田啓さん(58)=埼玉県入間市=が、書籍「日本『米軍基地』列島〜映画に描かれた基地の風景」(音羽出版)を出版した。琉球新報に自ら連載した企画がベースだ。「沖縄県外の人にも基地を自分たちの問題として考えるきっかけになれば」と期待する。(佐々木香理)
 沖縄を拠点にした仕事が続いた縁で二〇一四年から一五年にかけ、同紙文化面で「映画の中の米軍基地」「名優たちの沖縄」を計十五回連載し、基地問題を取り上げた。書籍では、本土の基地を題材にした映画も含め十八本を紹介。監督と俳優それぞれの人となり、現在の米軍基地問題に焦点を当てた三部構成で、作品の解説に加えて制作陣の逸話も盛り込んだ。
 旧米軍立川基地の拡張計画に反対する住民と警官隊が衝突した砂川闘争を描いた「爆音と大地」(一九五七年)の回では、米軍基地は「日本人同士が血を流す『断絶の世界』までつくり上げてしまう」とつづった。基地問題に関心を持つ原点は、高校時代に砂川闘争を知り、現地を訪ねたことだったことも記している。
 「爆音と大地」をはじめ、書籍で取り上げた作品には、米軍基地の存在を問う作り手の反戦、反米の姿勢が現れていて「映画人の気概を感じる」と話す。
 沖縄に移住した石川県珠洲市の少女による北陸中日新聞の連載を基にした「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」などドキュメンタリー作品を含む資料も巻末に添えた。二〇〇〇年代以降、基地を扱う映画は減り、地元制作のドキュメンタリーが中心になっているという。「多くの人が『基地は沖縄の問題』と片付けているからではないか」と懸念する。「映画は当時の社会をビビッドに反映してきた。基地問題を学ぶ立派な教材」と話し、映画界の奮闘も願う。書籍は税抜き千五百円。

関連キーワード

PR情報

東京の新着

記事一覧