景況感7年ぶりマイナス 3月日銀短観 宿泊・飲食最悪

2020年4月1日 16時00分
 日銀が一日発表した三月の企業短期経済観測調査(短観)は、経営者が今の景気をどう感じているかを示す業況判断指数(DI)が、代表的な指標の大企業製造業で昨年十二月の前回調査から八ポイント下落のマイナス八となった。マイナスは二〇一三年三月以来七年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界中で経済活動が停滞、終息が見えず経営者の心理は急速に冷え込んでいる。(渥美龍太) 
 DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値で、短観のDIは景気との連動性が強い。調査は二月二十五日から三月三十一日に全国約一万社を対象に実施し、ほぼ全社が回答した。
 大企業製造業の業況判断DIは五・四半期連続で後退した。業種別では全十六業種のうち十五業種で悪化した。自動車が六ポイント下落のマイナス一七となるなど、造船・重機等、繊維の下げ幅が目立った。
 大企業非製造業は三・四半期連続で下がり、前回から一二ポイント下落のプラス八。下げ幅は、リーマン・ショック後の〇九年三月以来の大きさとなった。業種別では宿泊・飲食サービスが七〇ポイント悪化のマイナス五九で、水準、下げ幅とも過去最悪だった。
 中小企業は、製造業の業況判断DIが六ポイント悪化のマイナス一五で、七年ぶりの低水準。非製造業は八ポイント下がってマイナス一となった。宿泊飲食に加え、レジャー施設運営などの対個人サービス、運輸・郵便の悪化が目立った。
 三カ月後の景気をどうみるかを示す「先行きDI」は、大企業製造業がマイナス一一。〇九年十二月以来の低水準だった。

<解説>コロナ追い打ち景気後退不可避

 幅広い業種で数値が悪化した三月の日銀短観の中でも目を引くのは、非製造業の落ち込みだ。米中貿易摩擦などで日本の基幹産業の製造業が苦しむ中、日本経済を下支えしてきたのが非製造業だった。経済の支え手が総崩れの状況となり、「コロナ・ショック」による景気後退が避けられない状況だ。
 非製造業では、外国人旅行客の減少や外出自粛要請などで、個人消費関連の低迷が目立ち、「リーマン・ショック以来」「過去最悪」の数字が並んだ。
 今回の調査は三月十一日までに対象企業のうち約七割が回答している。その後、新型コロナウイルスの感染者は増加の一途をたどり、東京五輪の開催延期や、東京の都市封鎖の懸念も強まっている。こうした現在の情勢は反映しきれていない。現実の企業マインドはさらに悪化している可能性が高く、しかも改善の兆しは見えていない。
 日本の経済成長率は昨年十~十二月期に消費税増税などの影響で五・四半期ぶりにマイナス成長。回復を目指していた途上で新型コロナウイルスの感染拡大に襲われた。エコノミストからは今年四~六月期まで三・四半期連続のマイナス成長となる見方が強まっている。 (森本智之)
<日銀短観> 日銀が全国の企業を対象に毎年3、6、9、12月に実施するアンケート「企業短期経済観測調査」の略称。景気の現状や先行き、設備投資計画などを幅広く尋ねる。調査から発表までの期間が短く、最新の経済状況を示す重要な指標と位置付けられる。特に大企業製造業の景況感は景気動向の目安とされ、日銀が金融政策を決める際の判断材料になる。

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