混沌「園子温ワールド」全開 初のハリウッド作「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」

2021年10月14日 07時47分

「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」の見どころなどを語る園子温監督

 映画「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」など鮮烈な作品を発表してきた鬼才、園子温監督(59)のハリウッドデビュー作「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」が公開中だ。混沌(こんとん)とした異世界が舞台の冒険活劇で、主演はニコラス・ケイジ。念願のハリウッド進出。「これまでアメリカでうまくいかなかったことが(映画製作の)力になっていた」と夢をかなえた今、園はそう明かす。 (藤原哲也)
 江戸情緒の街並みに、ネオンがともり車が走る「サムライタウン」。ヒーロー(ケイジ)は銀行強盗に失敗し投獄される。街を牛耳るガバナー(ビル・モーズリー)から、お気に入りの女性バーニス(ソフィア・ブテラ)を連れ戻せば自由にすると持ち掛けられ、ヒーローはバーニスが消息を絶った「ゴーストランド」へ向かう…。

映画「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」から。ニコラス・ケイジ(左)と日本から参加したアクション俳優のTAK∴(坂口拓) ©2021 POGL SALES AND COLLECTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 小学生のころから洋画を好み、「野球選手がメジャーを目指すのと同じ感覚」でハリウッド志向に。監督オーディションなどに挑んで十五年ほどになった頃、「太秦ライムライト」などを手掛けた米国在住の映画プロデューサーから脚本が届いた。「もうチャンスはないかもしれないと思い、すぐにやると言った」
 メキシコでの撮影に向け準備を進めていた二〇一九年、自身が心筋梗塞で倒れた。「がっかりしたけど、(予定していた)西部劇より、日本が舞台のチャンバラの方がアメリカでは目新しいと考え直した」。脚本を大胆に書き直し、京都などで撮影を行った。
 日本人キャストを交えた激しい斬り合いなどが見せ場の娯楽作品に、これまで扱ってきた放射能汚染を題材に組み込むなど“園ワールド”は健在。ケイジのふんどし姿やママチャリでの疾走という奇抜な演出もある。ケイジとは倒れる前に東京で構想を話しながら飲み明かして関係を深めており、病身を心配したケイジ側から日本での撮影を提案してきたという。
 米国では九月に公開され、一部の映画配信ランキングでトップ10入りした。宿願は果たしたが、まだ「パスポートを受け取っただけ」で、「次は自分の脚本でハリウッドらしからぬ映画を撮りたい」と語る。
 国内でも十二月に別の新作公開を控える。東京・TOHOシネマズ日比谷などで上映中。

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