<社説>アフガン情勢 対テロ軸に積極支援を

2021年10月14日 07時59分
 アフガニスタンで先週、過激派「イスラム国」(IS)のテロがあり、七十人以上が死亡した。ISの狙いは内戦の再燃で、その抑止には生活の安定が不可欠だ。国際社会は実効性のある人道支援に加え、制裁解除も検討すべきだ。
 同国北部クンドゥズ州のイスラム礼拝所で八日に起きた自爆テロでは、ISの地域組織であるISホラサン州が犯行を声明した。
 狙いは大きく二つある。一つはISなどスンニ派過激派が邪教とみなすシーア派の排除。この礼拝所は同国で少数派のシーア派のハザラ人が通う施設だった。ISは五月にも、カブールのシーア派住民が通う女学校に爆弾テロを遂行し、六十八人が死亡している。
 もう一つは、タリバンによる暫定政権を揺さぶることだ。ISは「タリバンの勝利は米国の陰謀」として、タリバンを裏切り者と見なしている。八月下旬にもカブール空港付近で自爆テロを起こし、約百八十人が死亡。九月中旬にも東部で、タリバンの車列を狙ったテロ攻撃を繰り返している。
 タリバンもかつてはシーア派住民を抑圧し、シーア派大国のイランとも緊張関係にあった。だが、現在はシーア派住民との融和やイランとの協調関係を探っている。
 内戦はようやく終結したが、アフガンは経済的な苦境から冬を前に人道危機が高まっている。そうした状況下でのテロの激化は、人びとの不安を増幅させている。
 アフガンは国家予算の半分を国際支援に頼ってきたが、タリバンの復権で世界銀行や国際通貨基金(IMF)は送金を止めた。こうした措置が経済を直撃している。
 十二日に開いた二十カ国・地域(G20)の臨時首脳会議では、国連を通じた人道支援の強化が合意され、日本も総額二億ドル(約二百二十億円)の拠出を決めた。十日の米・タリバン会談でも、米国による人道支援の提供で合意した。
 住民の手に支援物資を届けるための綿密な計画が必要だ。ただ、人道支援の効果は限られている。国際社会は暫定政権承認の是非と切り離し、送金停止の解除など踏み込んだ措置も検討すべきだ。
 タリバンは自力でISを掃討するとしているが、テロで民衆の動揺が広がれば、IS側の思うつぼだ。テロは住民を生活苦に陥れ、浮足立たせる。国際社会はタリバンと対話しつつ、ISの一掃を念頭に支援のあり方を探るべきだ。

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