閉園した「としまえん」のシンボル「古城の塔」価値知って 地元男性ら保存・活用求めてネット署名

2021年10月14日 12時00分
 昨年8月に閉園した東京都練馬区の遊園地「としまえん」のシンボルとして親しまれ、今も跡地に残る「古城の塔」の保存を求める声がインターネット上で広がっている。95年前の開園と同時に誕生した塔は、日本における近代遊園地の草創期の空気を色濃く伝える。「価値を知らせたい」。本紙「ニュースあなた発」に情報が寄せられた。 (砂上麻子)

英国式の重厚なデザインでとしまえんのシンボルだった「古城の塔」=東京都練馬区で(岡田さん提供)

 ゲートが閉じられた正面入り口の前に立ち、うっそうと生い茂る緑のすき間をのぞくと風格ある洋館が見えた。1926(大正15)年のとしまえん開園にあわせて建てられた「古城の塔」は、完成時の姿とほとんど変わっていないという。
 昭和の時代は食堂などに使われ、閉園前は年間フリーパス「木馬の会」を販売する事務所となった。古い絵はがきや遊園地の全景図には「古城ノ食堂」「古城の喫茶」「古城の塔」などの記載で紹介されている。
 国内の大型遊園地の先駆けとなる、としまえんを設計した造園家の戸野琢磨(1891~1985年)が塔もデザインしたとされる。としまえんは、戸野が、米国留学から帰国して最初に手掛けた大仕事だった。

「古城の塔」の保存を訴える岡田英昭さん

 「塔には以前から不思議な魅力を感じていた」。塔の保存を呼び掛ける署名運動をインターネット上で展開する会社員の岡田英昭さん(35)は、練馬区在住。としまえんの閉園をきっかけに、子どものころから身近だった塔のことを深く知りたくなった。
 資料にあたると、面白い発見があった。としまえんは中世の練馬城の跡。塔の足元に広がる大階段は、起伏のある地形を生かして設計された。頑丈なコンクリートが使われているのは、1923年の関東大震災の影響だ。「開業当時の時代の雰囲気に加えて、震災の記憶ともつながっていた」
 としまえんの跡地は、東京都が防災機能を持たせた「練馬城址じょうし公園」を整備する計画を立てている。一部エリアは、人気映画「ハリー・ポッター」のテーマパークとする。「古城の塔」をどうするかについては、未定だという。都の担当者は「安全面、利用面で課題が大きい。どういう対応ができるのかこれから検討したい」としている。
 岡田さんは「建物を壊すことは簡単だが、歴史を紡ぐことは容易ではない」と話す。目標の1000人の署名が集まれば都に提出し「防災公園のシンボル」としての活用を求めたいという。
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